世代別レイヤー採用

新卒は6年で卒業させる。これが私の考えたベストプラン。3年でスキルを身につけさせ3年で投資を回収し、笑顔で次のステージに送り出す。6年後に転職市場に出れば確実に報酬アップするスキルが身に付く。ここを約束することで6年間の定着率を高め同時に採用力もアップする。

優秀な若者はひとつの会社への永久就職などもう求めていないのである。育成と卒業をセットにすることで新卒社員と会社との良い関係が出来上がる。では中堅以上の社員はどうやって確保すればいいのだろう。私の提案は世代別レイヤー採用である。

20代後半〜30代前半、30代後半〜40代、50〜60代を分けて採用する。それぞれの世代に入口と出口を作ることで各世代の採用力と定着率を上げる。地層のように各世代を組み合わせることで盤石な組織が出来上がる。まず20代後半〜30代前半の採用。他社に新卒入社した人の2社目というポジションがここ。

社会人としてのマナーや仕事のベースとなるスキルは1社目で身についている。そのスキルで利益貢献してもらいながら、更なるキャリアアップのためのスキルを身に付けていく。それがこのステージの目標だ。即戦力なので相応の報酬を払わなくてはならないが、新卒育成期間に投資していないので報酬を上乗せすることができる。

重要なのは30代半ばまでに何らかのスペシャリストになれる環境が用意されていること。このステージでスペシャリストとして完成した人は次のステージに向かう。それが30代後半〜40代という世代。この世代は人生で最も稼げるステージである。身に付けたスキルを最大限に活かせて、自分を最も高く買ってくれる会社に入る。ドジャースにFA移籍した大谷翔平のステージである。

このステージの人材を確保するには最大限の報酬とやりがいをプレゼンする必要がある。報酬は高いが貢献度も抜群な人材。それがこの世代である。ここで稼ぎまくった人材はだんだんベタランの域に達していく。残念ながらピークは過ぎているが身に付けたスペシャリティは本物だ。

仕事ができる50〜60代は終の職場としてのやりがいを求めて転職する。彼らはピーク時ほどの報酬は求めていない。もちろん相応の報酬を用意する必要はあるが、彼らの望みは時間と心にゆとりを持って仕事をすること。後進の育成にも力を入れたい。年齢と共に労働時間と報酬を減らしていき、卒業したくなるまで働きつづけることができる環境。それが理想の職場。新卒を含めた4つのレイヤーが整うことで、大地のように盤石な組織が完成するのである。

 

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