ストーリーとしての仕事術

仕事が遅い人と、仕事が早い人。
その違いには、様々な要素が考えられる。
経験の差、知識の差、そして能力の差。
しっかりとタスクを管理し、事前準備をし、
経験を積み重ねれば仕事は早くなっていく。
だが、とてつもないスピードを手に入れる事は出来ない。

常識を超えるような思考スピード、
判断スピード、閃きスピード。
楽に稼いでいるように見えるスーパープレイヤーたちは、
例外なく仕事が早い。
それも、とてつもなく早い。
ではそのスピードはどうやって生み出されているのだろうか。

実はそのヒントは、流れにある。
常識を超えられない多くの人たちは、
流れを止めてしまっているのである。
日本人が活躍出来ないと言われている
メジャーリーグの内野守備。
基本に忠実な日本人プレイヤーは、
しっかりとボールを受け止めてから投げる。
だが、スピード溢れる中南米の選手たちは、ボールを止めない。

手堅いこと、ミスをしないこと、
それらはもちろん重要なことだ。
だがそのためにスピードを犠牲にしているとしたら、
その損失は計り知れない。
メジャーとマイナーを5年間行き来した川崎選手は、
メジャーの内野手として活躍するためには、
日本野球の型を破らねばならないと言っている。
中南米の選手たちのように、
リズムに乗って、流れの中でプレーするのだ。
ボールを止めるのではなく、流れの中で加速させる。

仕事もこれと全く同じなのである。
基本に忠実で真面目な日本人ビジネスマンは、
仕事を正面から受け止めてしまう。
さらには責任感が強いが故に、
自分の仕事、目の前の仕事に集中してしまう。
その行動が流れを止め、
スピードを殺していることに気がついていない。
仕事とは、流れなのだ。
どこからどのように流れてきて、どこに向かっているのか。
流れに乗ることによって、仕事は加速させることが出来る。

たとえば日経新聞に載っているひとつの記事を、
どれだけ真剣に読み込んだところで、
得られる情報はたかがしれている。
大事なのはその記事の周りの記事。
そして、過去の記事である。
どのような流れの中で、その記事が存在しているのか。
それさえ分かれば、記事など読み込む必要すらない。

たとえば映画を観るとき、
私たちは膨大な情報を瞬時に判断し、取り込んでいる。
それが出来るのはストーリーという流れに乗っているからだ。
映画の途中に出て来るワンシーンだけを切り離し、
その画像をどれだけ真剣に眺めたところで、
そのシーンを理解することは出来ない。
だが流れの中でそのシーンを眺めれば、
瞬時にそのシーンの意味を理解することが出来る。

自分以外の人がやっている仕事や、
過去の自分がやっていた仕事。
そこと繋げることによって、
今現在の仕事のスピードは加速する。
ボールが来ない時にも、
常にリズムに乗っていることが重要なのである。
仕事をしていない時にも、
常に仕事の流れを止めず、そのリズムに乗り続ける。
それが最も楽に、最も簡単に、
仕事をこなし稼ぐコツなのである。

 


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