三澤さん見ました?100日後に死ぬワニ。
はい。ずっと読んでました。
死んじゃいましたね。
すごく微妙な終わり方でしたけど。死ぬ場面は見せないで。死んだとも取れるし、そうじゃないとも取れる。
じつは生きてるってことですか?
いまファンの間で「あれ、復活あるよね」みたいなことが言われてます。「うまい終わり方したな」って。
そうなんですか!でも確かに死んだ姿は出てきてませんね。
でしょ?だってあれだけの読者がいるし。200万人でしたっけ?
はい。確か200万人ぐらいです。
なので、ちょっと欲の出た終わり方。パート2とか、復活みたいな可能性もちょっと残してる。
200万フォロワーってひと財産ですからね。あの前澤さんでも600万人集めるのに1億円かかってるので。
1円も使ってませんから。
あれぞ「マンガ家がやるべき戦略」ってかんじです。
はい。着眼が秀逸です。終わりが決まってることによって、日常がだいぶ変わって見える。
そうですよね。
同じセリフでも、まったく違う角度で捉えてしまう。非常にツイッター向きの企画ですよ。
私は最後の数話しか読んでないですけど。途中に伏線みたいなのがあったあらしいですね。
ありました。車に轢かれそうになったひよこを助けたり。
すごく単純な作りなのに「いつも死を考えさせる」4コマ漫画。すごいです。
素朴なつくりゆえに読者は興ざめしたんでしょうね。
終わった瞬間に「本が出ます」「映画化します」「電通がバックアップします」という展開だったので。「なんだよ。電通の仕込みだったのかよ」みたいな。
展開が早すぎたんでしょう。余韻も覚めやらないうちに。
電通って若い女性社員が過労死してるじゃないですか。それもあって叩かれてるみたいです。
そうみたいですね。
映画化すること自体がだめな訳ではないでしょうけど。タイミングを見誤ったってことですかね?広告のプロなのに。
そうでしょうね。
もうちょっと間を置いてから“書籍化決まりました”とか“映画化も決まりました”ってやったほうがよかった、って言われてます。
まあ電通からすると、あのタイミングがベストだったんでしょう。
一番盛り上がった瞬間ですから。それにしても仕込みっぽい。
言われているような仕込みではないと思いますよ。
「最初から仕込んでたわけじゃない」って作者は言ってました。
そうでしょうね。そんな感じではなかったです。たまたまウケたというか、狙ってあんな感じにはならないと思う。
三澤さんは何話目ぐらいから読み始めたんですか?
20話ぐらいかな。
結構早いですね。へぇ~。
もうちょっと早かったかもしれないです。
まだぜんぜんフォロワーがいない頃ですよね。
ぜんぜん少なかったと思います。
どうやって知ったんですか?
何かでネット検索したら出てきたんです。
じゃあ流行りとかは関係なく、純粋に面白いってことで読み始めたんですか?
そうそう。僕ああいうの好きなんですよ。
へぇ~。意外ですね。どういうところが好きなんですか?
終わりが決まってるところから始まるっていう。
「刑事コロンボ」もそうでしたよね。最初に犯人がわかって、それを視聴者はみんな知ってて、コロンボが犯人を追い詰めていくっていう。
ああ、そうですね。面白さの種類が違うというか。
確かに。あのパターンは私も好きです。
「テセウスの船」なんかは最後まで「誰が犯人なの?」「誰が犯人なの?」っていう面白さ。
あれはあれで面白いですけど。
今回の四コマ漫画は、とくにTwitterとの相性が良かったです。
たしかに。紙モノでは成り立たないですもんね。あのパターンは。
1日1話だからいい。
書籍だと一気に読んじゃいますもんね。
「コボちゃん」みたいな新聞の4コマ漫画でもちょっと。
前回までの話が見れないですもんね、新聞だったら。
そうなんですよ。Twitterならでは。
電通は何話目くらいで目をつけたと思います?
ちょっと噂になったあたり。彼らって唾付けるのが早いですから。
でもあれって、どうやって映画化するんでしょう?
ちょっと肉付けしていけば、子供用のアニメになるんじゃないですか。
でも死ぬのが分かってるわけですよ。
そこが教育にいいのかなと。
なるほど。
いま映画になってる台本って、売れてる漫画ばっかりですよ。
たしかに。「テセウスの船」もそうですからね。
お客さんがすでに付いてるので。ある程度採算が読めるというか。
営業マンもフォロワーが何人いるかで、給料が変わる時代ですから。
どんどんそうなっていくと思います。
じゃあ電通の戦略は間違ってなかったと。
告知のタイミングは、もうちょっと遅らせたよかったほうがよかった。
やっぱそうですか。
たとえば人が亡くなったときに「それ、今このタイミングで言う?」「このタイミングでやる?」ってのがあるじゃないですか。
それと同じだと。
「商売っ気が見えすぎた」ってことですね。冷めちゃったんですよ。
「電通」っていう反感もあるんじゃないですか。無名のマンガ家だと思って応援してたら「なんだ、電通かよ」みたいな。
それはあるでしょうね。
大きな会社がスポンサーになるって、今まではメリットしかなかったのに。
そうですね。デメリットも出てくる時代になりました。
デメリットは考えなかったんですかね?作者は。
考えないですよ。“書籍化だ”“映画化だ”って電通に声かけられたら、普通の人は「パクッ」と食いついちゃいます。
・・・次回へ続く・・・
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