【ロス五輪の思い出】
このコラムが掲載されている頃は
オリンピック真っ只中だと思います。
書いている今は、一週間前。
まだまだオリンピックは盛り上がっていません。
外国からも国内からも、観客は制限されて、
現地で見る機会はほとんどなさそうです。
私のオリンピックで一番心に残っているのは、
1984年ロサンゼルスオリンピックです。
女子体操の個人総合で地元アメリカの、
メアリー・ルー・レットンが優勝しました。
彼女は弾けるような笑顔で、
ゴムまりのように駆け回り、
テレビ画面全体を星条旗が埋め尽くす中、
優勝をかっさらいました。
遠く日本にいても、
アメリカ全体の熱狂が伝わってきて、
とても印象に残っています。
【熱狂できる機会】
レットンが喜びを爆発させている時、
何十万人ものアメリカ人のおじさんも、
それ以上に喜んでいるのが想像できて、
驚きを通り越して滑稽とさえ思えました。
同時に、
楽しそうだなと羨ましかった記憶があります。
今となって考えると、
オリンピックがすごいのは、
他人の成功を手放しに喜べることだと思います。
運も実力も全部ひっくるめて、
その場にたち、勝負をする。
そこにはやっかみは必要ありませんし、
だからこそ、みんなで熱狂できます。
こんな機会はそうそうありません。
【感情を取り戻す】
私達は年齢を重ねていくと、
喜怒哀楽に対して鈍感になります。
また、知識や経験が増えると、
物事を多面的・複合的に見るようになり、
感情のままに表現することができません。
日本人は感情の表現が下手と言われますが、
国全体の平均年齢が上がるほど、
国家が成熟すればするほど、
よけいに熱狂ができなくなって
いるのではないでしょうか。
東京の緊急事態宣言のなかで
おこなわれるオリンピック。
観光や経済効果という面では
想定通りではないでしょう。
ただ、
選手が純粋に競技に打ち込む姿は、
私達に喜怒哀楽を思い出させ、
忘れかけた熱狂を取り戻すことに
一役買っていることに違いないでしょう。
新しく出てきたヒロイン以上に、
喜びを爆発させているおじさんがいたなら、
それは私かもしれません。
- 著者自己紹介 -
人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。
出口にこだわるマーケター
松尾聡史