「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第117回 マハロコの「チケット制度」が画期的な理由

私は普段、お客さんの「商品の売り方」や「魅力的な見せ方」などを考えることで、売りやすくしたりより高く売れるようにするお手伝いをしていまして。そんな私から見ても、岩上さんって「売り方」がすごく上手だなと思うんですよ。

いやいや、本当に。やっぱりね、せっかくいい商品なのに売り方で損をしている人って山ほどいるんですよ。それなのに皆すぐに営業力とか広告とか「売る力」ばっかりを強化しようとする。その点、岩上さんの「チケット制度」なんかはすごくうまくできているなと思うんですが、どうやってこの制度に至ったんですか?

そもそも僕にとって美容室は「コミュニティ」だと考えていまして。だから技術の提供をするだけでなく、いかにお客様とたくさん接点を持つかということに重きを置いているんです。例えば今だと、僕のお客様のほとんどが月に1回来店してくださる。そうすると僕とは年に12回会いますよね? これって下手したら「友達」と会う回数よりも多いわけです。

ですよね(笑)。会社の人だったらほぼ毎日顔を合わせるかもしれませんけど、それはそれでちょっと壁がある。友達のように心を許しているわけではないといいますか。だからまず、自分がどれくらいお客様と接点を持っているのかということを考えてみたんです。

平均4.2回でした。そこでまずは平均来店回数を6回まで上げようと考えた。そこで「早割」という制度を導入したんです。施術が終わった直後に2カ月以内の予約を入れれば、次回の施術が10年%割引になりますよ、と。

ええ、そこがポイントなんです。皆さんよく「客単価」って言いますけど、僕は昔からずっと、1回の客単価よりも「年間でいくら使ってもらうか」ということを重視しているんです。例えば「1万5000円のカット」で年に4回の来店頻度であれば、年間で6万円を支払うことになる。でも僕だったら1回の料金を7000円にして、さらに10%オフにして、毎月来店してもらえるようにする方がいいと考えたんです。

仰るとおりです。さらに言うと、「3カ月に1回、1万5000円」という状態って2カ月間はゼロ円だけど3カ月目に突然「1万5000円の出費」が出てくる。そうなるとお客様としてもちょっと抵抗感が出てしまうんです。

なるほど! 美容代を変動費ではなく固定費にするわけですね。しかもお客さんにとっては1回あたりの金額は安くなるから損をした気分にはならないし、月1で美容室に通うことで髪のコンディションも常にいい状態に保てる。いいことづくめじゃないですか!(笑)

いえ、「早割」の次は「VIPチケット」という制度でした。これは1000円チケット✕10枚の利用券を5000円で販売していたものになります。1つの施術に対して1枚使えたので、例えばカットとカラーをしたら、2枚使用=2000円割引になる、という仕組みでした。

実はこのチケット、使用期限を1年間としたんです。そうするとチケットを無駄なく使い切るために、年間の来店頻度も上がったんです。毎年年末だけしか販売していなかったんですが、VIPチケットだけで300万円くらいの売上げが作れるほど、人気の制度でした。

そうですね。あとは、月2万円で通い放題になる「定額制度」もやりました。ただこれは、毎月定額から、3カ月、半年…というように期間を延ばしていろいろと試行錯誤した中で、定額制よりは「しっかり使いたい月」と「ちょっと抑えたい月」を、お客様ご自身が選べる方がいいのではないかという考えに至って。それで「チケット制度」が生まれたんです。

ありがとうございます。結局、僕としてはただずっと1人のお客様を追いかけ続けてきた結果なんですよね。1回あたりの単価は下がっても、接触頻度を増やすことで年間の消費額が増える。そうすると他のお店に流れてしまう率が減るし、何よりも頻繁に会えることでプラスの提案もしやすいわけです。

うんうん、それが素晴らしいんだと思います。一度に高額を支払う時もあるけれど、それ以外は毎回お金を払うことなく施術が受けられる。そのバランスが非常にいいんだと思います。いやぁ〜、マハロコさんの「チケット制度」、本当に画期的なシステムですね!
対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

















