第172回「石塚クラスが始まるってよ」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第171回「小さくまとまることのススメ」

 第172回「石塚クラスが始まるってよ」 


安田

石塚さんのプロファイリング能力を生かして、年明けからBFSの先生をやっていただくことになりました。

石塚

ありがとうございます。

安田

「うっかり引き受けちゃった」って感じですか(笑)

石塚

いやいや、そんなそんな(笑)でも、せっかくBFSの講師陣に加われるのであれば、いろいろ試してみたいですね。

安田

是非よろしくお願いします。

石塚

じつは僕、BFSの開業式を2回見学してまして。

安田

おお!ありがとうございます。

石塚

あれに自分が当事者として立ち会えるって、ワクワク感のほうが強いです。

安田

嬉しいお言葉です。

石塚

開業式っていいですよね。

安田

開業スクールなので卒業式ではなく開業式にしました。

石塚

みんなすごくいい表情してて。

安田

それがいちばん嬉しいです。

石塚

あれを12週でつくれるっていうのは、すばらしいなと思っていて。

安田

BFSは「自分でビジネスをやったことがない人」のための学校でして。

石塚

いいコンセプトだと思います。「いったい自分はなに屋さんをやればいいのか?」「どうやればいいのか?」って習う場所がないから。

安田

石塚さんに講師を依頼したのは理由がありまして。

石塚

はい。

安田

私は「まだ世の中にない仕事」をつくり出すのが好きなんですよ。

石塚

すごいスキルですよ。

安田

ありがとうございます。だけど作り出すんじゃなく、いまある仕事から適職を見つけるのもありじゃないかと思いまして。それには石塚さんのプロファイリングがぴったり。

石塚

ありがとうございます。ただ僕は安田さんとほぼ似たことをやっていて。

安田

そうなんですか。

石塚

確かに既存の職業をベースにしますけど。ちょっとマーケットをニッチにしたり、少しズラしたり、なにかとかけ算したりして、現状ある職業を改造していくんですよ。

安田

なるほど、似てますね。

石塚

「ゼロからつくり出すかどうか」の差だけであって、手法はきわめて似てると思ってます。

安田

どちらからアプローチするかの違いですね。

石塚

本当にそうです。

安田

石塚さんクラスについて申し上げたいのは、「採用ビジネスに特化したクラスじゃないよ」ってことでして。

石塚

そこは強調したいですね。

安田

石塚さんは人材ビジネスのプロフェッショナルなので、どうしてもそういうイメージがありますから。

石塚

人材ビジネスを20年以上やってきたので、その知見を生かせることは確かです。ただ少し視野をズラすと、人に関わるビジネスっていろいろつくれるんですよ。

安田

採用や研修だけが人材ビジネスではないと。

石塚

はい。人に関するビジネスは今の時代背景にすごく合ってまして。「人の悩みをしっかり聞いて解決する」という仕事は、基本的には成功すると思ってます。

安田

お悩み解決業ってことですか。

石塚

痛みを解決するか悩みを解決するか。これからの日本のローカルビジネスを考えるのであれば、このどっちかしかない。

安田

へぇ~、痛みと悩み。おもしろいですね。

石塚

つまり健康ビジネスで勝負するか、もしくはカウンセリング、コンサルティング、相談業的な、人の悩みを解決するビジネスか。成長産業はこの2つだと思う。

安田

これまでは「不足や不便を解決する」という仕事がメインだったと思うんです。そういう時代は終わりつつあるってことですか。

石塚

そうです。

安田

採用に関してはどうですか。頭数を揃えるだけのビジネスはなくなっていく?

石塚

どんどん人口が減っていく中で、拡大成長だけのビジネスはもう成り立たないんですよ。いわば後退局面のビジネスをやらざるをえない。

安田

後退局面のビジネス?

石塚

そう。ただ日本人は後退局面がすごく苦手なんですよ。

安田

へえ〜。

石塚

戦後の高度経済成長のような時には、日本人は知恵もビジネスアイデアもたくさん出てくるんです。

安田

やることが決まってますからね。

石塚

そう。だけど後退局面においてはみんな元気がなくなる。ものを考えられなくなる。それが日本人の特徴。

安田

なるほど。

石塚

普通に募集しても「後退局面をいかにして解決するか」なんて人は、採れないじゃないですか。

安田

そんな人はそもそも会社員にはならないでしょうね。

石塚

まさにそこなんですよ。だから採用という枠では解決できない。

安田

私がやろうとしている「雇わない経営」って、ある意味、後退局面において有効な戦略じゃないでしょうか。

石塚

後退局面におけるひとつの秀逸な戦略だと思います。

安田

おお!嬉しいですね。

石塚

いつまでも攻められないので。

安田

ですよね。そもそも拡大し続けるって無理があります。

石塚

はい。時代は縮小均衡です。

安田

それでも十分食べていけると。

石塚

生活していくだけの収入なんて余裕で稼げますよ。

安田

小さいけどちゃんと食べていける仕事が、石塚さんクラスに来れば見つかる?

石塚

食べていくことだけが目的じゃなく、楽しめる仕事を見つけたいです。

安田

どうしても石塚さんに「採用ビジネスを習いたい」って人はどうでしょう。

石塚

もちろんそういう方も大歓迎です。ただビジネスとしてはちょっと捻らせてもらいますけど。

安田

後退局面での採用ビジネスってことですか。

石塚

そうです。いくらでも考えられると思います。

安田

最後に石塚さんから、「こういう人に来てほしい」「こういう人だったら俺は役に立てる」みたいな人物像を教えてほしいんですけど。

石塚

とにかくホスピタリティの高い人。これからの小さなビジネスの勝者って、人柄がよく、性格もよく、面倒見がいい人。こういう人は超ビジネスチャンスです。

安田

ちょっと前にはビジネスに向いてなかった人たちですよね。

石塚

はい。そういう人にひとりでも多くお会いして、あなたの人柄を生かした、あなたに特化させたビジネスをオリジナルでつくりましょう、って。一緒にやれたら最高ですね。

安田

なるほど。「人の役に立ちたい、人に喜ばれるのが大好き。だけど、それではお金にならなかった」という人たちが稼げる時代だと。

石塚

おっしゃる通りです。

安田

「俺にまかせとけ」と。

石塚

がんばります(笑)

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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