クリニックは補助金をもらえない?〜お医者さんは、なやんでる。 第134回〜

第134回 「クリニックは補助金をもらえない?」

お医者さん
お医者さん
ふう……今月も売上が下がってる。患者さんもどんどん減っているし、一体どうしたらいいんだろう。
お医者さん
お医者さん
父からクリニックを継いで約20年。なんとかやってきたが、いよいよ何か手を打たなければならないかもしれない。
お医者さん
お医者さん
とは言え、いきなり銀行に泣きつくのもな……まずは補助金から始めてみようか。確か、事業再構築補助金というのがあったはずだ……
先生、その補助金は難しいと思いますよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
え? 難しいってどうして……って、君は一体?
はじめまして。ドクターアバターの絹川と申します。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしています。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
あ! 知り合いの医者から聞いたことがあるぞ。電子カルテが専門のくせに、それ以外のあれこれもどんどん提案してくるっていう……
あ、それ多分私です(笑)。お医者さんと話すのが大好きで、様々な相談に乗っているうちにこういう働き方になっていったというか。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
へえ、なんだか自由な感じでいいなあ。うちはどんどん売上が下がっていて、とにかくここを存続させることでいっぱいいっぱいなのに。……あ、そういえば補助金の話だった。確かさっき、難しいって言ってたよね。
そうですね。先生が考えてらっしゃるのは「事業再構築補助金」の申請だと思いますが、こちらは最近公募要領に変更がありまして。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん? 変更って、どんな?
そのものズバリ、「医療保険の事業は対象外」という内容が追加になったんですよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
え!? そうなの?
そうなんです。だから先生のクリニックのように、保険診療専門のクリニックに補助金は下りません。ちなみにこれは「ものづくり補助金」も同様です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そんなぁ……じゃあもうどうしようもないじゃないか。銀行との付き合いもほとんどないし……このままじゃいずれ廃業ということにも……
いやいや、どうしようもないことはありませんよ。先生のクリニックでも補助金を受け取れる可能性はあります。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
?? だって、クリニックは対象外だって言ったじゃない。その時点でアウトじゃないか。
いや、正確には「医療保険の事業は対象外」と言ったのです。つまり、「医療保険に関わらない事業」でなら申請は可能だということです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ますますわからないよ。あなたいろんな先生とよく話してるならわかるだろ?我々のビジネスは医療保険なくしては成り立たないんだよ。
そんなことはありませんよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そんなことあるんだって……いや、待てよ、もしかしてあなたが言っているのは……
そう。自由診療です。保険を通さない医療サービスは、「医療保険の事業」には当然含まれません!
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど……そういうことか。
ですから私は、このタイミングをチャンスと捉え、自由診療のサービスを始めることをオススメします。補助金をもらうこと自体が目的と言うより、自由診療にチャレンジするいいキッカケにするんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
……確かに、今までも自由診療への挑戦を考えなかったと言えば嘘になる。でもなんだかんだと言い訳して具体的には動かなかった。それを変えるチャンスだということか。
そうやって前向きに捉えた方が、視野は広がります。結果、新しい収益事業が生まれ、補助金ももらえるかもしれない。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うん、確かに。そもそも、一回補助金をもらえたところで、問題が少し先送りになるだけだものな。根本的に変えていかないと、ずっと同じ課題に苦しむことになると。
仰る通りです!先生はベテランでいらっしゃるし、きっと先生にしかできない自由診療が実現できるはずです。ぜひ考えてみてください!
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
良いね!なんだかワクワクしてきたよ。さっそくアイデアを出してみるから、具体的になってきたらまた相談に乗ってよ!
もちろんです!楽しみにしています!
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

感想・著者への質問はこちらから