「自由診療の成功率は10%?」〜お医者さんは、なやんでる。 第82回〜

第82回 「自由診療の成功率は10%?」

お医者さん
お医者さん
明らかな人口減に加え、診療報酬点数の低下。このままだと保険診療ビジネスがジリ貧なのは明らかだ。
お医者さん
お医者さん
結局、キーとなるのは自由診療だろう。知り合いの病院でも自由診療メニューを新たにスタートしたらしいし…。
確かに、自由診療を始める病院は増えてきていますね。というより、もうそうするしか手がないというか。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうだよなぁ…。保険診療じゃ食っていけない未来がすぐそこまで来ている。それはわかっているんだが、なかなか踏ん切りがつかなくて……って、君は一体?
はじめまして、ドクターアバターの絹川と申します。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。実際、自由診療を検討している医者は多いのかね?
ええ、以前よりは確実に増えています。ですが先生のように「考えてはいるが実践はできていない」という方も大勢いらっしゃる印象です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうだろうなあ。実際私も、具体的に何をどう始めればいいかさっぱりわからない。
そういう場合は、現状の医療サービスと親和性が高いもの、いわゆる“シナジー効果”が見込めるものを考えてみるのがよいと思います。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
例えばどんなものだね?
例えば、ある皮膚科の病院は、オリジナルの基礎化粧品を開発・販売しています。皮膚科で治療を行い、アフターケアとしてその化粧品を使ってもらう。あるいは逆に、化粧品のファンが患者として皮膚科に来ることもあるでしょう。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。確かに“シナジー”が効いてるな。
整形外科がスポーツジムを経営する、というのも同じような戦略です。整形外科の患者がスポーツジムの会員になることもあれば、その逆もあるわけです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
しかし、ウチのような普通の内科だと、なかなかそういうものもなさそうだが。
健康食品やサプリを取り扱ったり、健康をテーマにしたセミナーを開いたり、考え出せばたくさん出てきますよ。いずれにせよ重要なのは、慎重になりすぎないことですね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
慎重になりすぎないこと?
ええ、自由診療は収益アップの「手段」でしかありません。いろいろな企画をどんどん試してみて、その中からよいものを見つけ出していく、くらいでちょうどいいと思います。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なんだかビジネスの世界の話みたいだな。新規事業が当たる確率は10%以下、みたいなことをよく聞くが。
「みたい」ではなく、実際にその通りなんです。保険診療という特殊な枠組みのせいで見えにくくなっていただけで、医療だって立派なビジネスなんですから。特にこれからの時代は、病院やクリニックにも民間企業と同じスタンスが求められるようになるでしょう。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うーむ、なるほどな。確かにそう考えれば、1つの事業を当てるには10個の企画が必要ということだものな。
ええ。それくらいの感覚でいろいろなことにチャレンジしていけば、きっといいサービスが見つかるはずです。今はまだ手をこまねいている病院も多いですし、ある意味チャンスです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
チャンスか。よし、ちょっと前向きに考えてみよう。企画ができたらぜひ意見を聞かせてくれよ。
もちろん喜んで!
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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