第264回「マイナンバー狂想曲」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第263回「製薬会社のドロドロ物語」

 第264回「マイナンバー狂想曲」 


安田

マイナンバーカードを返納する人が増えているそうで。

石塚

困ったもんですよ。

安田

確かに面倒くさいですけどね。

石塚

そうですか?

安田

私は初期に作りまして。コンビニで暗証番号を間違えたので、役所まで行かないと使えるようにならない。しかも役所で「今日はマイナカードお手続きの日じゃありません」と断られちゃって。

石塚

かなりレアなケースですね(笑)基本的にはすごく便利なものですよ。

安田

まあそうですよね。コンビニで印鑑証明も取れるわけで。

石塚

マイナカードはもう絶対、全国民推進しなきゃダメ。

安田

私もマイナカード自体は反対じゃなくて。面倒くさい手続きをなくしてくれたらOKですよ。

石塚

先日マイナカードの更新に行って。窓口の女性担当を励ましてきました。「 マスコミはあんなふうに言うけど頑張ってね。僕はマイナカード推進派だから応援してます」って。

安田

凄いですね(笑)そもそもなぜ更新が必要なのか。アメリカでは更新なんてないです。

石塚

居住地が変更する場合があるから。

安田

その時だけ行けばいいじゃないですか。

石塚

一定の更新時期にそれをチェックして、常に最新のカードを持つってことでしょ。結婚したり、居住地変わったりするし。

安田

変わった時だけ申告すりゃいいんですよ。変更ない人まで必要もないのに行かなきゃいけない。

石塚

運転免許と紐付けるからかもしれませんね。

安田

なるほど。アメリカは免許の更新もないですからね。1回取ったら終わり。

石塚

それは国の設計によるので。とにかく自分のソーシャルセキュリティナンバーさえあれば、あらゆるものが紐づいていて、申請すれば1発で必要書類が届く。

安田

「国民を管理するためのシステムだ」って人もいますけど。

石塚

マスコミには悪いけど、そんなのマイナンバーじゃできないですよ。確かにデータは持ってるけど1個1個見ることがどんなに大変か。

安田

でも見ることは可能なわけですよね。

石塚

見られたところでですよ。もう税金を払ってる時点で丸裸じゃないですか。だって源泉徴収制度なんだから。

安田

これ以上取るものなんてないと。

石塚

そうですよ。ほんとに。

安田

日本国民を「独裁国家のように管理しよう」という制度ではない?

石塚

いつも思うんですけど。もし監視されたとして何を制限されるんですか。中国のようにパスポートを取り上げるとか、海外渡航を禁止されるとかなら問題だけど。

安田

みんなが政治家に逆らえなくなりませんか。

石塚

そこまで実行する権利も機能もないですから。マイナンバーカードごときで。

安田

まあ、私も結論から言うと、マイナンバーカードは普及してほしいです。こんなちょっとしたミスぐらいで返納とか言う人の気が知れない。

石塚

新しいシステムは必ずトラブルとか出るんだから。しょうがないですよ。あれぐらいの件数だったらかなり優秀だと思います。

安田

日本人は重箱の隅をつつくようなことをしますよね。ちょっと不具合が起こるとメディアで取り上げちゃって。

石塚

立憲民主党も「紙の健康保険証を併用して残せ」とか馬鹿なこと言ってるし。そういうこと言ってるから日本は世界から遅れるんでしょ。

安田

それが票に繋がるのが日本なんですよ。紙が大好きな人たちがいるので。

石塚

ほんと日本はダメだなって思います。もう本当に悲しくなりますよ。

安田

キャッシュレスが進まないのと同じですね。どこかで思い切ってやっちゃえばいいのに。

石塚

でもね、安田さん。マイナカードはおじいちゃんおばあちゃんも含めてかなり普及したんです。

安田

そうなんですか。

石塚

実はマイナカード頑張ってるんです。それ、なぜかわかりますか。

安田

わかりません。

石塚

マイナポイント2万円ですよ。

安田

私はもらってませんけど。

石塚

僕もね、ちょっと早すぎてもらえなかったんです。

安田

「2万円もらえるなら作ります」って人がいっぱいいるんでしょうね。

石塚

だって奥さん、旦那さん、おじいちゃんおばあちゃんで、2万、2万、4万ですよ。でかいじゃないですか。あれでみんな区役所、市役所に来たそうです。

安田

この前、印鑑証明を取りに区役所に行って、ついでに使えなくなったマイナンバーカードも手続きしたんです。そしたら凄く親切になっていて。びっくりしました。

石塚

今は役所を上げて頑張ってます。

安田

「本日はどのようなご用件ですか」って聞かれて「印鑑証明です」と言った時は普通だったんですけど。「マイナンバーカードも」と言った瞬間に態度が良くなって。

石塚

(笑)

安田

「こちらへお越しくださいませ」みたいな感じで。椅子まで薦められて。「印鑑証明もこちらで承ります」とか言われて。

石塚

僕も「今日はマイナカードの更新に来ました」って言ったら、もう顔がぱっと明るくなって。「どうぞこちらです」みたいな。

安田

ほんとそうですよね。そんなにみんな嫌なんですかね。マイナンバー。

石塚

アレルギー感が凄いですよ。デジタルで負けた国って感じがします。

安田

医療情報が漏れるとか言われてますよね。別にいいじゃないかと思うんですけど。

石塚

いや、むしろ旅行先で具合悪くなった時なんて、マイナンバーで病歴わかった方が助かりますよ。「危ない、すぐこれ持ってこい」って話になるじゃないですか。

安田

病院や歯医者さんを変えても治療履歴が全部わかるし。

石塚

別に安田さんの病歴なんて誰も興味ないんだって。

安田

便利さに比べて不都合がすごく少ない気がするんですけど。

石塚

そうなんですよ。運転免許とか、健康保険証とか、あらゆるものを繋げて。

安田

なぜこうまで反対するのか。

石塚

反対する人はとにかく反対したいんでしょう。なんか習慣みたいになってる。新しいものは嫌。未知のものはとにかく避けたいと。

安田

だけど2万円には釣られるわけで。カードを返納した人も2万円は返納しないそうです。

石塚

「2万円も返納していただきます」って言ったら誰も返さなくなるでしょう(笑)

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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