「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第67回 ハウオリの最大の武器は「ありえないロットの巻き方」

ええ。とは言え、当時は「薬剤をつけていないのにお金をいただいてもいいんだろうか」って思いもありまして。だから最初の頃は「1ヶ月定額通い放題」のパスポートを持っている方限定のサービスにして。…いや、サービスというより「実験」という方がいいかもしれない(笑)。

そうなんですよ(笑)。「実はトリートメント剤をつけなくても髪質が良くなるという事例が出てきたので、よかったら試させてもらえませんか?」って。ロットの巻き方についてもあれこれ試させてもらったりして。

あくまでも「髪の毛にクセをつけるための道具」だからです。頭皮や根元付近の髪の毛に薬剤が付いてしまうと頭皮に負担もかかりますし、毛根を傷つけるおそれもあります。だからハウオリの初期段階では「キツく巻く」ことはしていなくて。

試行錯誤の結果、というしかありませんね。ロットを細い幅のものに切り替えてみたり、髪の毛の根元を巻き込むようにしてみたり、小さな調整をものすごくたくさんやってみて。結果、「あれ? 強く巻いた方が効果が高いぞ」とだんだんわかっていった。

皆さん、細くなると「痛い痛い」って仰っていました(笑)。でも、ロットを巻き終わった時の顔が5歳以上若返って見えるんですよ。要は、たるんでいた頭皮が細いロットでギュッと引き上げられることで、顔もグッと引き上がるんです。

ははぁ…新しく生えてきた毛は、髪質自体も変わっていたというわけですね。ちなみにロットの巻き方ではなく、スチーム機械の方は最初からスムーズにいったんですか? それともそっちはそっちで試行錯誤があった?

ありましたね〜(笑)。まずね、スチームが思った以上に熱かったんですよ。3分くらいが皆さん限界で。これはいつか火傷させてしまうかもしれないと、スチーム機械のメーカーである「直本工業」さんに来てもらって、お店で実際の施術を見ていただいたんですよ。「こういう使い方をしたいんだけど、何かいい案はないですか?」って。

そうなんです。それでスチームの粒子の小ささはそのままで、温度だけを下げた機械を紹介していただけて。それまでは120〜180℃くらいの水蒸気を冷風で多少冷たくする、みたいな方式だったんですが、新しいものは最初から43℃で噴射できる。

ええ、本当に。直本工業さんの企業努力の賜物だと思います。未だに、それだけの低温で加熱水蒸気を放出できるのは、直本工業さんの機械以外ありませんからね。

対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。