なんだか褒められたくなって、それまで考えてもいなかったムチャをしてしまう。
昔の漫画なんですが、井上雄彦の「バガボンド」でそういう描写がありました。
剣術道場のグループが、憧れの対象ではあるが名を上げるために有名な剣士に挑むのですが、そこで剣士に
「お前らで斬りあって、勝った奴と戦ってやる」
と、意外な提案を受けます。
そしてグループは魅入られたように、その異常さを考える間もなく従ってしまうのです。
グループの本質が「強くなりたい」という個人の集まりであっても、仲間とそんなことになるかなあ、と当時は違和感をもっていたのですが、いまになってちょっとこのエピソードを思い出しました。
さいきん、個人的に新しくSNSを作ろうとしています。
動機は「老後の種まき」です。
これから自分がどうなるかは誰にもわからないことですが、長く生きることより健康寿命にこだわった方がいいし、それには精神衛生がとても大切です。
正直、誰にも見られない場所で黙々とやる自信はないので、SNSです。
動画などはこれまで仕事でもさわったことがないジャンルですので、すべて試行錯誤しながらの作業になります。それだけでなく、既存のコンテンツやチャンネルを勉強目線でみることになります。
ただ、そこで目にするのは「登録者何万人」「再生数何万回」のものばかりなのですよね。
見やすく、おもしろく、つくりも巧みで、「見る側」としてはあたりまえに求められるクオリティなんですが、「作る側」に回ってしまうと、
「いや、レベル違いすぎてマネするもんじゃないわ……」
と果てしない距離を感じるものがあるのです。
一方、いざ作る側に立つと、考えることは結局ふたつしかありません。
「いかに見てもらうか」と「アルゴリズムにどうやったら好かれるか」に帰結します。
そうして、老後の人生環境を整備するために手をつけたことが、いつのまにか「アルゴリズムに受けるルートはなにか」を探しはじめ、マネする対象ではないとわかっていた「数字を持つ人たち」のやり方に、目が吸いよせられていくのです。
なんだか褒められたくなって……というわけです。

















