第176回 自分の売りたい商品を売らないのが「営業力」?

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第176回 自分の売りたい商品を売らないのが「営業力」?

安田

突然ですけど、中辻さんって「営業力」がありますよね。


中辻

え、そうですか?!(笑)

安田

ええ、ありますよ。そんな中辻さんにお聞きしたいんですが、「営業力って何ですか?」と聞かれたら、どう答えます?


中辻

うーん、難しい質問だなぁ。やっぱり「お客様の利益になることを一番に考えること」ですかね。

安田

ははぁ〜、素晴らしい考えですね!


中辻

いえいえ…(笑)。たぶん「自分がコレをこの人に売り込みたい」ではなく、「この人は何を求めてるんだろう?」ということを相手との対話の中でしっかり組み込んで提案すること。さらに言えば、相手の期待以上の提案をすることで、お客様側はすごく満足してくれるはずだと思っています。

安田

なるほどなるほど。中辻さんはどうやってその考え方に至ったんですか? 例えばヤクルトレディ時代って「インセンティブが高いから」みたいな理由で、特定の商品を売らなきゃいけない時もあったと思うんです。


中辻

そうですね、もちろん最初にご提案するのは一番インセンティブの高い商品なんです。でもその商品説明をしている時に、お客様から「お腹の調子は悪くないんだけど、血圧が高いんだよね」って話が出たりしたら、「あ、じゃあ絶対にこっちの商品の方いいですよ!」って、全然別の商品をオススメしたりはしてましたね。

安田

へぇ。インセンティブが低くても、「お客さんが必要そうだから」って別の商品を紹介していたってことですか?


中辻

そうそう(笑)。だってその方が、お客様との関係性が長く続くんですもん。

安田

なるほどなぁ。お客さん側からしてみたら「高血圧で悩んでる」って言ってるのに、お腹の調子が良くなる商品をゴリ押しされたら「こいつは自分の儲けになる商品を売りつけようとしてるんじゃないか?」って思いますよね。そうしたらもうその人からは買いたくなくなってしまう。


中辻

仰るとおりです。でも、自分の悩みに合わせた商品を提案してもらえて、少なからず効果も見込めたら、次の週もまた買ってくださるんですよ。結局のところ、「営業=生涯顧客価値を考える仕事」なんだろうと思いますね。

安田

いやぁ、素晴らしい。そのスタンスは、今のお仕事でも変わりませんか?


中辻

変わらないですね。ポスティング希望でお問い合わせしてきてくださったお客様でも、じっくりお話を聞いたうえでポスティングには合わない商材やな、と思ったら「お客様のところの商材やったら、Web広告の方がマッチしていると思いますよ」って普通に言っちゃいます(笑)。

安田

でもそれだと、お客さんを逃したことになっちゃいませんか?


中辻

そうなんですけど、ポスティングで絶対効果が出ないってわかっているのに無理やり強行したところで、当然成果は出ない。そうしたら確実にそのお客様とのお取引は終了してしまうわけです。

安田

ふむふむ。


中辻

でも私がWeb広告をオススメしたことで成果が得られたお客様は、ウチの会社のことを信頼してくださるんです。そうすると「じゃあWeb広告用のバナーを作って」「ホームページ作って」「LP作って」というように、その後のお取引がどんどん充実していく。

安田

なるほどなるほど。誠実な対応をしてくれる相手とだったら、長く関係性を持ちたいと思うのは当然ですもんね。


中辻

だと思います。私は常に「お客様が求めている結果にどうやったら最短でコミットできるか」っていうのを考えるようにしていて。正直にやっていくことが大事なんやろうなと思っています。

安田

でも中には「相手に必要のないものを、いかにして買わせるか」というのが営業だという人もいるんですよ。有名な格言でいうと「エスキモーに冷蔵庫を売れるやつが、すごい営業マン」みたいなね。中辻さんはそんな風には考えたことはないですか?


中辻

うーん…そうやって売って、結果的に相手の役に立てばいい気もしますけど。私はあんまりそういうグイグイいく営業はしないからなぁ。繰り返しになっちゃいますけど、目の前のお客様にとって良い結果になるのであれば、他社の商品をオススメすることも全然アリだと思っちゃいます(笑)。

安田

確かに長期的な視点でみればその方がいいんですよ。長く良い関係が続きますから。でも短期的に見ると「本当はこのお客さんにこの商品は合っていないけど、会社の資金繰りを考えたら、なんとしてでもこの商品を売らなきゃ」みたいになる可能性もありませんかね?


中辻

あー…経営者としては良くないのかもしれませんが、どうしてもそういう考えにはなれないですね。特にウチがやっている広告のお仕事って「継続していただいてなんぼ」っていう部分も多くありまして。最初のお取引の時が一番準備が大変でパワーも必要なんですが、それを継続していくのはそこまで大変ではないんです。

安田

確かに初回は打ち合わせを重ねたりデザインを考えたりといろいろありますが、2回目以降はある程度の土台ができていますもんね。ということは、1回きりでお付き合いが終わってしまう方が、結果的に損失が大きくなるというわけか。


中辻

そういうことです。さらに言うと、お客様と良い関係性を作れていれば、たとえポスティングのご依頼がなくなっても、名刺とかパンフレットとかのデザイン制作の方で末永くお取引が続いていく可能性も高くなる。そういう意味でも、お客様のお悩みにコミットすることで、ウチの会社を信頼して好きになってもらうことが重要なんやろうなと思います。

安田

それが営業の本質ですよね。多くの営業マンも頭では理解していると思うんです。でもそれを実際にやれる人は、なかなか少なくて。中辻さんはどうやってそのスキルを身に着けたんですか?


中辻

いやいや、私も過去には自分本位な提案をしていた時期もありましたよ(笑)。でもそれで上手くいかなくて、試行錯誤しながら「こういう提案をすれば喜んでいただけるんだ」っていう経験が積み重なったことで、今の私の営業スタイルが構築されたのかなと。

安田

経験則からきたというわけですね。いやぁ〜素晴らしいですね。営業力をつけたいと悩んでいる方はぜひ、今日の中辻さんのお話を参考にしてみてください!

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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