人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第146回 「効力感」が人を辞めさせない

内的報酬の上手な作り方について、今日はプロである藤原さんに聞いてみたいんです。給料アップがもう当たり前になってきていて、「安くてもなんとか採用したい」というのはもう無理じゃないかと。

ええ、まさに。給料が安いと辞めていくけど、高ければ定着するかというとそうでもない。辞める理由にはなるけど、来てくれる理由にはなかなかならない。だからこそ経営者はもう内的報酬からは逃れられないと思うんです。

人不足倒産だけじゃなく、人件費を上げないと人が来ないからどんどん上げていって潰れるという「人件費倒産」も増えてきていますからね。安い給料しか払えない事業体は、厳しい言い方ですけど、もう継続は難しいんじゃないかと。

そうなんですよ。私の知り合いで、元ワイキューブの社員だった北島さんという方が会社を作って10年で100億以上のグループにしているんですが、毎年30人近く採用しても事業の成長に追いつかなくて、本気で人が足りないと言っているんです。

難しいテーマですけどね。あえて一言で言うなら「効力感」という言葉を私はよく使います。力が効いていると書いて効力感。自分が何かをやって、それが何かにつながっている。その実感が持てなくなったときに、人はやりがいを失っていくんだと思います。

あれはあれで効力感なんですけど、自分のためだけではもう頑張りきれないという人も増えていて。誰かの役に立っている実感だったり、大手ゼネコンの「地図に残る仕事」みたいに自分の仕事が大きなものにつながっている感覚だったり。

ははぁ、自分のためじゃなく、何かのためという効力感の方が今は求められていると。じゃあ「効力感」の反対はやっぱり「無力感」になるんですかね。やっても手応えがない、気力はあるんだけど反応がないみたいな。

そうですね。例えば、よかれと思って改善案を提案したのに、上司に「そんなこと考えてる暇があったらこっちをやれ」と返されてしまう。「それ考えたんだね、すごいじゃん」という言葉もなく。こういうことの積み重ねで効力感を失っていくんです。

「自分はこういうことを求められてないんだ」「言っても無駄なんだ」と。まさにそういう時に感じるのが無力感なんでしょうね。私は仕事における内的報酬って、突き詰めると誰かの役に立っている実感なのかなと思っていて。

例えば、納品先の売り場の方から「御社の製品はいつもパッケージが綺麗だから、いい場所に置きたくなるんだよね」と言われたとしますよね。それを現場でパッケージを作っている人に「皆が丁寧にやってくれているおかげだよ」とちゃんと伝えられるかどうか。

ええ。それだけじゃないですけど、「内的報酬を与えること」も仕事の一部にしていこうという話はよくしますね。外的報酬、つまり給料や役職は原資が有限で上から下にしか流れない。でも内的報酬は原資が無限で、どんな立場の人でも、あらゆる人に与えることができる。

ああ、確かに。誰かを褒めたり、役に立っていると伝えたりするのは上司じゃなくてもできることですもんね。その一方で、その人じゃなくてもできる仕事って、どうしてもやりがいを感じにくいと思うんですよ。その人ならではの、その人だからこそ人の役に立てる部分を見つけて組み合わせることが大事なんじゃないかと。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

















