10年くらい前になるんですが、ある女性の俳優さんがバラエティ番組で発言した内容が物議を醸したことがありました。
「どうして生まれてから大人になった時に、照明さんになろうと思ったんだろう?」
「なんで自分の人生を女優さんの声を録ることに懸けてるんだろう?」
というようなことを仰って、翌日SNSでさっそく謝罪をすることになったのだとか。わたくしは番組は見ていなかったのですが、正直これが大好きで年一回くらい思い出すのです。
この俳優さんは当時16才で、いわゆるオーラをバリバリと放つ美少女でした。ふつうこんなことを言ったら、文字面が激烈すぎて発言者の「見下し」だとか「嫌味」だとかが先に立つでしょう。なんか濁るんです。
しかし飛ぶ鳥を落とす勢いの芸能人、ある意味世界の頂点にいるような、本当の意味での無敵の人が言うと話がちがいます。これは他意もなんにもない、時速170kmの火の玉ストレートです。
いっていることは単純です。
独立したひとりの人間として生まれてきて、大人になるまで成長して、なぜ見知らぬ人を支えることを生活の中心にした選択をしたのだろう。誰かに褒められたりすることもなく、強制されるわけでもないのに。
しかし、仕事をしている大人にとってこれ自体はありふれたシチュエーションです。
子どものころに夢見た職業に就く人はごく一握りですし、望まずに就いた仕事にだって、そこで見つけたおもしろいこと、やりがいくらいはあったりするものです。
しかしこの問いは、照明さんや音声さんだけでなく、わたくしをふくめたありとあらゆる日常を生きるだけの人、そこいらへんの石をひっくり返したときワラワラと出てくる無名の仕事人なら、たまに自分に投げかけていい価値があるのではないかと思います。
もちろん、問いかけたところで
「いや家族いるから」
「生活のためにやっているだけ」
のように、スコンと終わる人が大多数でありましょう。
それでいいのです。
これは、そうでなかったときにどうする?という仕事観への抜き打ちテストなのです。
















