14%ってことでしたよね。すぐキレちゃう人とか、ネットで問題を起こしそうな人。
はい。
その14%をきちんと見抜いて排除しておけば、ネットの問題なんかもすごく少なくなると。
そういうことです。
やっぱり、辞めた社員が書いてる割合って、多いんですか?
中にいた人が書くパターンが圧倒的に多いです。
元社員が書くと、問題も大きくなるんですか?
なりますね。嘘の中に一部本当のことも混ぜたり、中の人じゃないと分からないような情報も混ざってるので。より信ぴょう性が高い。
ネットで見た人が信じてしまう?
信じて、広めてしまいます。結果的に、事実じゃない情報がどんどん広がっていく。
だからこそ「書き込む可能性の高い人間」を、入口で見抜いておく。
もうひとつの大きな目的は「本当に犯罪を犯していないか」ってところ。
本当の犯罪?
たとえば繰り返しがちな犯罪で、わいせつ関係だったりとか、痴漢だったりとか。
結構見つかるんですか?
これだけの件数調べてると、やっぱり一定数出てくるわけです。特に塾の先生とか、学校の先生とか、子どもさんと関わるお仕事。
え!それってマズくないですか?
かなりマズイですね。
たとえば塾や学校って、すでに雇ってる先生の中に、危ない人が混じってたりしないんですか?
実はかなり混じってるんですよ。
それは大問題ですよね?
そういう人が「いる」ってことも問題ですし、そういう人を「雇った」という責任問題も大きい。
なぜ、ちゃんと調べないんだと?
はい。今はネットでいろんな調べ方をすれば出てくるので、何かあった場合に親御さんに説明がつかない。
じゃあ、見つかった場合はすぐに辞めさせるんですか?
いや、すでに雇っている場合は慎重な対応が必要です。
なんか、そういう人って逆恨みしそうですもんね。
そうなんです。だから、少し遠ざけた部署に配置するとか。人の目が届く所でしか子どもさんと接点もたないようにするとか。
やっぱり大事なのは、採用する前に見抜くことですね。
はい。わいせつ関係だけではなくて、経理とかの「横領」などもよくある話です。
確かに、経理は怖いですね。
意外と多いのが、広告担当の広告費の詐取というか、一部横領とか。
バックマージンもらってたりとか?
バックマージンもありますし、本当の横領っていうのもあります。
それは明確な犯罪ですよね?
実際に逮捕された人が何年か経って転職をしたり、マーケティング部長候補として履歴書を持ってきたっていうケースもあります。
知らずに採用してしまうケースも?
知らずに、また同じような仕事に就けてしまうケースもあります。危険度はかなり高いです。
そう言えば私も、人事の人にバックマージンを要求されたことがあります。
ワイキューブ時代ですか?
はい。まだ無名だったころ。
遠回しに要求されたんですか?
いえ。ストレートに「その分、上乗せして払うから戻せ」って言われました。
すごいですね。
はい。で、断ったんですけど、すごく驚かれて。「え、なんで断るんですか?御社は1円も損しないじゃないですか」みたいな。
こっちが驚きますよね。
まさに。「今まで来た業者は、みんな払ってたのか!」って、こっちが驚きました。
でも、そういう人って、いつの時代も必ず一定数いるんですよ。
実際に塾で調べたことがあるんですよね?何人ぐらい調査されたんでしたっけ?
今いる社員さんを3,000名ぐらい調べました。
元犯罪者とかも、出てきちゃったんですか?
元犯罪者や、ネットで変なことを言ってる人とか、軽いのだと「会社に内緒で副業をやってた人」とか。全体の17・8パーセントいました。
17・8パーセントって言ったら、534人ですよ。ものすごい数です!
塾は多かったですね。
それは仕事柄ですか?やっぱり。
仕事柄だと思いますね。
子どもと接したりする仕事だから?
そうです。そういう「ちょっと危ない趣向の人」が集まってくるんです。
じゃあ、その塾だけの話じゃないですよね。ほとんどの塾にそういう人が混じってる?
その塾だけじゃないです。塾のお客様は、中堅から大手さんまで何社もいらっしゃいます。
じゃあ、それらの塾は、今は入口でブロック出来てるんですか?
はい。先ほどの塾は毎月100名面接してるんですけど、全員の履歴書が送られてきてチェックします。
問題があればそこで発見されると?
はい。今は「必ずそこを通してからじゃないと採用しません」というフローになっています。
問題があったら、高学歴でも落とすわけですか?
学歴だけじゃなく、写真の印象も、字の丁寧さとか書いてる内容も、ピカピカの人たちもいるんですよ。
「え!こんな人が」みたいな。
その通りです。「あれっ?」ってことがあまりにも出てくるので、「これは全員調べておかないと怖い」となりましたね。
自分たちでは調べられないものなんですか?
人手を割く余裕がないというのもありますし、情報管理の一環で掲示板とかが見れなくなってたり。
なるほど。
それに、出てきた情報によっては、色眼鏡でその人を見ることになるので。
色眼鏡?どういう意味ですか?
採用には関係ないけど、すごく変わった趣味だったりとか。LGBTとか。
ああ、なるほど。
本当にデリケートな情報も出てくるので、人事の方が1人でぜんぶ見て、○か×かだけを現場に戻すようにしてます。
社内で手分けして調べたら、えらいことになりそうですね。
共有してはいけない情報まで、共有されてしまいます。それにやっぱり、社内で調べるのは限界があります。
技術的な限界ということですか?
そうです。たとえば同姓同名の人もたくさんいますから、どれが本人の情報なのか特定しないといけない。
偽名を使ってる人とかは、分かるんですか?
はい。検索して出てくる情報って氷山の一角で、偽名とか、すでに消された情報とか、技術的には拾ってくることができます。
それは素人では無理ですね。もちろん手作業でやってるわけじゃないんですよね?
ロボットを使います。ただ、ミスが出ないように目視も必要になってきます。
それは大変ですね。
はい。一定レベルで育成をしないと、目視もなかなか難しいんです。
最近、すき家とかで問題が起こってるじゃないですか。本人はクビ覚悟でやってましたけど、ああいうのは永久に残っていくんですか?
永久に残ります。
じゃあ、「ネットの履歴書」が普及したら、就職できなくなりますね。
まあ「そういう人が採用したい」って会社があれば別ですけど。影響のない仕事に就いていただくしかないですね。
本人は自覚ないんでしょうけど、結構致命的ですよね?
これからの社会では、かなり致命的です。
ネットの履歴書が普及したら、ああいうバカげたことをやる人が減っていくかもしれませんね。
普及したら、みんなかなり慎重になると思いますよ。
そういう意味では、会社のドクターを超えて「人類ドクター」とも言えますね。
はい。そういう側面もあります。ただ個人的には、企業に「もっといい採用」をしていただくお手伝いがしたいです。
問題のある人を落とすだけではなく?
単に悪い人を落とすのではなく、その会社で活躍できるかどうかまで見抜く。
それが出来たら画期的ですね。
人には隠れた悪い部分だけでなく、隠れた良い部分もあります。だから総合的に人の素の部分を見抜けるツールにしたいです。
・・・次回へ続く・・・