人間交換日記 78通目「今という奇跡について」大野

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


78通目/大野からの返信
「今という奇跡について」

中身の意味。特に愛は、それは誰かから教わるという範疇を超越しているのではないでしょうか。思い出す、取り戻す、あるいは逆に、背負ってきてしまった重い荷物をおろして行くというか。つまり、今という奇跡がなぜ自分に与えられているのか?この問いに尽きます。東洋哲学には不二という概念があります。つまり二つにあらず。その観点からすれば、心身は不二です。ところが依正不二という言葉もあって、環境と心もまた別々ではないと云う。ここからが僕の独断と偏見の答えになりますが、総ては心の投影且つ、レッスンなのではないかと。そして、一つ誤解を恐れずに断言するならば、愛がまがいものでなければ、僕らは成長するという事です。

前回77通目/安田「中身とは何か?」

大野さんへ

結婚や年齢は目に見える形でしかなく、愛や心は目に見えないけど本質である。私はもういい歳ですし、素直な性格だし、科学万能だとも思っていませんので、仰ることはよく分かります。でもきっと多くの人たちには分かりにくいと思います。何となくごまかされている感じ。なんか怪しい。というのが本音でしょう。そういう人に説明するときに大野さんは何と答えていますか。中身って一体何なの?って聞かれたら。心とは肉体とは別の存在なのか。それとも肉体の一部なのか。愛は脳みその電気信号に過ぎないのか。愛とか心って人間が定義しているだけで本当は無いものなのか。それとも人間の定義などとは関係なく、確かにあるものなのでしょうか。

ー安田佳生より

 

前々回76通目/大野「オノ・ヨーコの答え」

安田さんへ

オノ・ヨーコがジョン・レノンとの時間の90%を共に過ごした後で、彼を失った生活にどうやって耐えられたのかと質問された時、彼女は「今、私と彼は自分たちの時間の100%を共有している」と答えました。肉眼に映るのは形。本質は中身。結婚は形。愛が中身。年齢は形。心が中身。小学生の時、僕は音楽が大好きでしたが、成績はできの悪い生徒でした。所がもし、先生の頭の中に成績は悪いけれど、音楽が大好きな生徒というカテゴリーがなかったらどうなるか?僕は打ちのめされていた事でしょう。幸いにも、その先生はそうではありませんでしたが、僕たちはともすると、過去に起こった体験に未来の指揮を任せっぱなしにしてしまうのです。

ー大野より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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