【vol.287】重要マーケティング用語109⑤

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


先週に続き、2023年の「重要マーケティング用語109」というリストの中から「いつか役にたつかも」というものをピックアップしたいと思います。Intergrowthというサイトです。

今回の記事はコレ

109 Marketing Buzzwords to Know in 2023
2023年に知っておくべき、109のマーケティングバズワード
(https://intergrowth.com/marketing-buzzwords/)

※109個はあまりにも膨大なのですが、ざっと眺めてみたところ
・既に多くの人が知っていそうな用語
・あまりにもマニアックすぎる用語
も多く含まれていたので、109から厳選して見ていこうと思います。

今週は下記の2つ

■ Pivoting to video
■ Repurposing

早速みていきます。

■Pivoting to video(動画に軸足を移す)

The idea of pivoting to video has been popular for a few years now. It describes the idea that companies should focus less on written content and more on video content.

動画に軸足を移すという考え方は、数年前から流行している。これは、企業が文章コンテンツを減らし、動画コンテンツにもっと注力すべきだという考え方だ。

この流れは周知の通りですね。
「さらに動画コンテンツにシフト」という世界になると、本当にもう動画が溢れまくって、目が疲れて仕方がないですね。。。

At the same time, there’s no argument that video content can be effective. According to Animoto, video ads are the number-one way that consumers discovered a brand last year.

同時に、動画コンテンツが効果的であることに議論の余地はない。Animotoによると、昨年消費者がブランドを発見した方法の第1位は動画広告だった。

一時期は、音声メディアが瞬間的に息を吹き返して流行りましたが、結局は動画コンテンツ最強、ということですね。
「Pivot to video」というよりも単に「Back to video」とか「Video as always」という表現の方が近いかもしれません。
Video(動画)を届けるビークル(手段)が「TV→PC→スマホ」と遷移しているから、モビリティ性が上がっている(スマホによって)分だけ「動画が増えている」というのが実態ではないでしょうか?

「結局スマホ」ですね。

■Repurposing(再利用)

In marketing, to repurpose a piece of content means using it for several different functions. This allows you to extract as much value from each piece of content as possible.

マーケティングにおいて、コンテンツの再利用とは、そのコンテンツを複数の異なる機能に使用することを意味する。これにより、各コンテンツから可能な限り多くの価値を引き出すことができる。

一度コンテンツを作ったら、そのコンテンツを「別の媒体」や「マーケット」で再活用することが重要だ、という話ですね。
一見「コンテンツの使い回し万歳」というようにも見えますが、下記のように警告されています。

Keep in mind that repurposing content does not mean to use the same piece of content over and over, as that won’t do much good. Instead, it’s more about reworking your existing content for new audiences and platforms.

コンテンツの再利用は、同じコンテンツを何度も使うという意味ではないことを覚えておいてほしい。そうではなく、既存のコンテンツを新しいオーディエンスやプラットフォーム向けに作り直すことなのだ。

単に「コンテンツを使い回し」することではなくて、一度生成されたコンテンツを「媒体」や「オーディエンス」や「プラットフォーム」に合わせて再編集することが、「コンテンツのRepurposing(再利用)」における最重要ポイントということと理解しました。

「Repurposing=再利用」という翻訳がいまいちピンと来なかったのでググってみたのですが、本来「Repurposing」はメディカル用語みたいです。
「drug repurposing」という発想があって、これは「既知の薬効や副作用を利用し、別の疾患への適用を探ること。」を意味するみたいです。
要は「ある薬の副作用の部分をうまく利用して、他の疾患に主作用として利用する」ことが「drug repurposing」で、利用目的を別に定めるという文脈での「Repurposing=再利用」です。これだとしっくり来ますよね。

マーケ用語になった途端「陳腐化」してしまった感ありますね。単なる再利用だと「recycle (リサイクル)」だと思うので。
現状では、マーケ業界では、この言葉自体が効果的に「Repurposing=再利用」されてませんね。。皮肉なものです。

 

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「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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