日曜日には、ネーミングを掘る #035 カーツワイルの法則

今週は!

新しい内閣が発足すると、必ずといっていいほど、大臣の幾人かが野党やマスコミの生贄となる昨今ですが、今回の内閣で図らずもそのお一人になりそうなのが、桜田義孝さん。御年68歳が、やってくれました。

ところは、衆議院内閣委員会。五輪担当と併せてサイバーセキュリティ担当も兼務している立場でありながら、パソコンを使ったことがない事実が発覚したのであります。発言は早速ネット民たちに叩かれ、海外メディアにも冷ややかに取り上げられたりしたわけですが。

このニュースを見て、なんだか笑えないぞと思ったのは、私だけでありましょうか。

日々アップデートされる情報にもみくちゃにされ、技術革新のスピードについていけていないのは、大臣に限らず、私も、あなたも、同様。ま、お互い様というところでしょう。

まさに大変化の時代の真っ只中にいる私たちでありますが、最近、この流れが『収穫加速の法則』なるものに支配されていることを知りました。法則は、Googleでエンジニア集団を率いる未来学者レイモンド・カーツワイルが提唱したもので、彼の名をとって『カーツワイルの法則』とも呼ばれています。

どのような法則かというと、技術の進歩は、直線ではなく、指数関数的な曲線を描くというものです。カーツワイルはその基となる考え方を、次のように説明しています。

直線的に30歩進めば1,2,3,4,5という調子で30に到達するが、指数関数的に30歩進むと2,4,8,16…となり、その数は10億に到達する。技術の進歩も同じで、1つの重要な発明は他の発明と連鎖的に結びつき、イノベーションが加速していくため、人類に影響を与えるような重要な発明がなされる期間がどんどん短期間になっていく。

例えば、ラジオが5000万ユーザーを獲得するまでの時間は38年だったのに対して、テレビは13年、インターネットは3年、フェイスブックは1年、ポケモンGOでは、なんと19日で同数に到達している。

一方で、カーツワイルによれば、私たちホモサピエンスは長い間、線的な思考に慣れてしまっているため、この現実をなかなか受け入れられないと言います。

誰もが(人間が心の奥底に抱える弱さゆえに)技術が連続的に直線的に進歩することを期待しているが、大方の予想を裏切って、未来は私たちを驚嘆させることになるだろう。しかし、現時点で、それがどのような未来か、変化のペースがさらに加速するとはどういうことか、理解できている人はほとんどいない。

だから、桜井大臣。あなたは質問した議員に対して、USBを投げつけ、こう切り返せば良かったのです。

「私は、カーツワイルの法則に従って生きている。なにも知らない若造が、ごちゃごちゃ言わんと、控えなさい」

 

参考資料:『デジタルの未来』日本経済新聞出版社

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