第34回「包装容器が作るマーケットとは?」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 34  「包装容器が作るマーケットとは?」

今年はコロナの影響で新年会を見送らざるを得なくなった皆さん!
私も、ほとんどの飲み会がオンラインに変わりました。オンラインだと辞め時が分からず、ついつい飲みすぎちゃいますね。
ですが、これがあれば、そんな問題を解決できるかもしれません。


意匠登録第1506968号(意匠権者:凸版印刷株式会社)
【意匠に係る物品】包装用袋


未来コンパスが指すミライ

先日レストランに行ったら、小型のビールサーバー「タップ・マルシェ」というものを見かけました。
これはキリンビールが提供しているサーバーで、従来 使われていた金属製の樽(10kg)の代わりに3Lのペットボトルを取り付けるものです。

高齢者や女性も働く飲食店にとっては、ビールの取付け作業が楽になり、キリンビールや販売店にとっては、樽の回収が不要になります。
また、消費者にとってもメリットがあります。コロナにより飲食店の利用頻度が減ったことで、ビールを消費しきるまでの期間が長くなり、ビールの鮮度が保てないという問題がありました。3Lであれば、新鮮なうちにビールを飲むことが可能です。
メーカー、飲食店、消費者のいずれにもメリットのある「三方よし」です。

この事例で重要なのは、商品であるビールは変えていないという点です。新商品というと、まずは商品を刷新することを考えますが、付属品とも言える「容器」を変えるだけで新しい商品体験を生み出せることが分かります。

さて、上記の意匠は、パウチ容器のデザインです。
容器をパウチに変えることで、新しい価値を提供できるでしょうか。たとえば、ワインはどうでしょう。

諸説ありますが、ワインが750mlである理由は、二人で飲むとちょうど気持ちよく酔える分量だからという説があります。
オンライン飲み会が普及したことで一人飲みが増えたいま、飲みきりの少量サイズがあると嬉しいですよね。飲み会のスタイルが変化しているタイミングにおいて、それにマッチする商品には追い風が吹きます。開栓すると保管が難しいワインの性質にも適します。
国内製造ワインの割合は2017年時点で31.6%(国税庁「国内製造ワインの概況」)。輸入ワインは詰め替える訳にはいかないので、国内製造ワインのシェアを増やす一手になるかもしれません。

もう一つの利点は、軽い点です。コロナの影響で、キャンプやスポーツ観戦といった屋外のレジャーに注目が集まっているところ、瓶入りのワインは重くてかさ張るため、気軽に持ち運べません。パウチなら、小さいバッグに入れることも可能です。冬には湯煎で温めるホットワイン版があっても良いかも知れません。

このように、容器を変えるだけで従来の商品とは異なるメリットを提供できる可能性が見えてきます。皆さんも商品の「付属品」を変えることで、まだ誰も手を付けていない将来のマーケットを見つけてみてはいかがでしょうか。

 


 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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