第136回 自然な庭の裏にある「人工的なコントロール」

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第136回 自然な庭の裏にある「人工的なコントロール」

安田

中島さんのお庭ではよく雑木が使われますよね。雑木、つまり「雑多な木」ということなんですけど、その言葉の印象とは全然違う、すごく個性的で素敵な木がいっぱいあるじゃないですか。


中島

ええ、本当にそう思います。

安田

でもその一方で、「雑多な草」である「雑草」はどうしても邪魔者に感じてしまいます(笑)。「雑草なんていう名前の草はない」なんて言われることもありますが、中島さんとしてはどうですか?


中島

そうですねぇ。庭づくりを考えると、雑草はできればない方がいいですね。成長が遅くて美しい雑草だけが生えてくれればいいんですが、放っておくといろんなものが混ざって、ただの草むらのようになってしまうので。

安田

なるほど。雑草を活かそうとすると生えすぎてボーボーになっちゃうんですね。確かに人間より背が高くなる草もありますもんね。


中島

草原のように遠くから見る分にはいいんですが、お庭の中にあるとちょっと困りますよね。もっとも、雑草か雑草じゃないかは、あくまで人間の勝手な解釈だとは思うんですが。

安田

確かに。防草シートなどで雑草が生えないようにして、一方では丁寧に他の草花を植えたりする。「それは雑草じゃないのか」と言われると、なかなか答えが難しい(笑)。


中島

仰るとおりで(笑)。というか、どんな種類の草花でも、混ざらずに生えていれば美しく見えるんですよね。逆に言えば、ぐちゃぐちゃに混ざっているから汚く見える。エリアをきちんとわけてあげれば気にならないんだと思います。

安田

ああ、つまりポイントは統一感ってことなんですね。ちなみにクローバーとかシロツメクサってよく見かけますけど、種もまいてないのに次から次に生えてきますよね。


中島

そうですね。どんどん増えてしまうので、お庭に植えることはおすすめしません。庭全体を緑にするのであれば、芝生の方がいいと思います。

安田

そうですよね。種をまいたら大変なことになりそうです。他にオススメはありますか?


中島

蘭の種類のシランとかヤブランとかもいいと思います。あとは冬場に赤い実がつくヤブコウジなど、常緑のものが多いですね、

安田

へぇ、地面に生える蘭なんてあるんですね。地面がむき出しにならないように、常緑で花が咲くものを選ぶんしょうね。


中島

割栗石や砂利だけだとどうしても強い印象になってしまうんですが、草を植えることで雰囲気が柔らかくなるんです。花が咲くもの以外だと、ススキに似たカレックスという植物があるんですが、60センチから80センチぐらいで一年中同じような感じに保てるんです。

安田

なるほど。ススキはきれいですけど、背が高くなりすぎて庭に生えてたら邪魔な気もしますもんね。


中島

そうですね。ススキだとベルギー産でピンク色の穂がつく綺麗なものもあります。ただやはり場所はとりますが。

安田

ふむふむ。ユーカリのようなオージープランツも流行ってますけど、めちゃくちゃ大きくなっちゃいますよね。コアラのかわいらしいイメージで植える人も多そうですけど。

中島

大きくもなりますし、あとは根が深くまで伸びないのでどうしても倒れてしまいやすいんです。

安田

は〜、そうなんですか。やっぱりその土地にあった植物を植えるのがいいんでしょうね。

中島

そうですね。その方があまり育ちすぎず手入れもしやすいと思います。防草シートを敷いたうえで、石と植物でバランスをとるのが見栄えと手間が両立できるかなと。

安田

人が歩くところには緑がなくてもいいと思うんですけど、それ以外のところが全部土だとなんか味気ない気がしますもんね。そこは石を置きつつ、石の間からちょっと草が出る程度を絶妙にコントロールしていると。

中島

ええ。土の面を出してしまうと、夏場は特に草抜きに追われてしまいますから。防草シートを敷いて、そこに切り込みを入れて植物を植えてから砂利を撒いてます。

安田

ははぁ、なるほど。草を植えているところ以外は生えないようにしているんですね。たまたまそこに出たわけじゃなくて、防草シートに穴を開けてわざわざ草を植えていると。自然のままに見えても、実はお手入れの手間を最小限にするための仕掛けが隠されているんですね。


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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