“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第147回 新市場を切り拓くための「ファンを失う覚悟」

ビジネスモデルを変えると、元々のファンの方から「前の方が良かった」と言われることもありますよね。例えばテレビでも、深夜枠ですごく人気だった番組がゴールデンに移って面白くなくなったとか、大衆寄りになって尖った企画がなくなったとか、好き勝手言う人がいるじゃないですか(笑)。

そうですね(笑)。万代でもかつての男性向けのリユースショップからファミリー向けのアミューズメント店舗に切り替えた時、そういう声をいただきましたね。

なるほど(笑)。そうなると、かつてのファンを失うことはどうしても避けられないわけですよね。ターゲットが変わるから商材も変えないといけないし、今まで支えてくれた人には申し訳ないけど、自分自身を変えていくしかないと。

ええ。ビジネスを変えるということはターゲットを変えるということなので。そういう意思決定をしたということです。安田さんも昔は「人を採用しなさい」というのがメインの仕事でしたけど、今は逆で「雇わない経営」を推進されている。

ええ。スマートフォンをはじめとするインターネットの普及とコロナ禍という二つの大きな変化がありました。深夜のマーケットがなくなって、商材の半分近くがスマートフォンの影響で消えました。残りもメルカリさんのような業態が出てきて、それまでのやり方では世の中に合わなくなったんです。

池袋の西武百貨店がなくなるときも、地元の人は大反対でしたよね。自分たちの生活の一部がなくなってしまうと。でも経営者から見れば、お客さんは減っていくしマーケットはシュリンクしていく。ファンが嫌がるとわかっていても、決断せざるを得なかったということですか。

確かに頭ではわかるんです。でもマーケットが変わる時っていきなりゼロにはならないじゃないですか。半分に減ってもまだ残ってくれている人がいると、その人たちの声を聞いて大事にしなきゃと思ってしまいそうで。

サイレントカスタマーとも言いますが、お客様って黙って去っていくんですよ。だからこそ「察する力」が大事なんです。これは店舗ビジネスでもBtoBでも同じですが、ライバルにお客様が流れたなというのは、空気感でわかるものなんです。

ああ、確かに。主要な取引先がパタパタといなくなるときって、何となくわかりますよね。目をつぶりたくなるし、否定したくもなる。でもそこを直視して、自分たちのサービスが時代遅れになったんだと受け止めることが大事なんでしょうね。

そうですね。その結果、厳しい言葉をいただくこともあります。ウチも「面白くなくなった」と散々言われましたし。でもそこは決断が必要なんです。昔のお客様も残しつつ新しいターゲットも狙うなんて言ったら、それこそおかしな店になっちゃいますから。

つまり、いま残ってくれている人のためにこのまま続けるのか、それともターゲットを変えて新しい市場を切り開くのか、両方やろうとしたら中途半端になってしまうと。そこで揺れちゃいけないということですね。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















