第114回 「ツアー型」と「個人旅行型」、2つの美容師タイプ

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第114回 「ツアー型」と「個人旅行型」、2つの美容師タイプ

安田

岩上さんは、美容師のタイプには「ツアー型」と「個人旅行型」がいるとお考えだそうで。今日はちょっとその辺りを深掘りさせていただいてもいいですか?


岩上

もちろんです。まず「ツアー型美容師」というのは、いわゆる「お客様側が望むそのままを提供するタイプ」です。世間で流行っている髪型やカラーなど、お客様の「やってみたい」というニーズを満たしてあげる美容師ですね。

安田

なるほど。パッケージツアーのツアコンのようなものですね。


岩上

そうそう。例えば、「自分はクセ毛だからストレートパーマをかける」と決めているお客様に対して、その通りに施術するということですね。でも世の中にはそれだけだと満足できないお客様、例えば「そもそも私に似合う髪型は、一体どういうものなんだろう?」と悩んでいる人もいるわけですよ。

安田

自分のニーズがまだおぼろげというか、何をしてほしいかから一緒に考えて欲しいお客様。


岩上

そうそう。そういうタイプのお客様に新たな選択肢を提案してあげるのが「個人旅行美容師」。要は、「提案を求めているお客様」に対して、「解決策を提示」してあげるんです。

安田

なるほどなるほど。それによって画一的なツアー旅行とは違った楽しみが出てくると。


岩上

まさにそういうことです。ツアー型のように提供されるものが明確でない分、「やったことないけど、勇気を出して挑戦してみようかしら」というドキドキが介在する。

安田

ああ、確かにそうなるでしょうね。施術してみないと結果はわからないから、お客さんも美容師もドキドキだ(笑)。


岩上

そうなんですよ(笑)。そのドキドキやワクワクを一緒に楽しめるのも、個人旅行型の醍醐味かなと。終わった後に「そうそう、これこれ! こういうのを求めていたの!」というような、お客様の中から湧き上がってくる喜びを提供するんですよ。

安田

素晴らしいですね。ただお話を聞いていると、「ツアー型」と「個人旅行型」って、求められるスキルのレベルが全然違うような気がします。


岩上

そうですね。髪を切ったりロットを巻いたり、といった施術自体は変わりませんが、「ツアー型=言われたことをキチンと再現するスキル」と「個人旅行型=悩みを理解して解決してあげるスキル」が、それぞれ必要だと思います。

安田

ふーむ。セールスでいうところの「定型商材を売る営業」と「お客さんに合わせてその場で商品を作る営業」みたいなイメージですね。


岩上

あ〜そうですね! わかりやすいたとえをありがとうございます(笑)。

安田

笑。ちなみに個人旅行型だと、お客さんに合わせて施術をカスタマイズしていくわけじゃないですか。それって予約時間内ではなかなか提案しにくくないですか?


岩上

まさにそこがジレンマなんですよ。もっとじっくりお話しながら個々に合わせた提案をしたいのに、予約枠は1時間半とか2時間しか取れていない。しかも2時間後には次のお客様の予約も入っている。そうなると、やりたいことを100%やるにはまた別日に来ていただかなくてはならない。

安田

うーん…。そうなってしまうと、お客さん側のテンションは下がってしまいそうですね。


岩上

そうなんですよ! 意外とお客様って衝動的に「今、解決したい」って思われていることが多いので。だからこそ僕は、当日その場で一緒に解決策を考えて、施術を提供するようにしています。それで言うと、ちょうど先日ウチのお店にいらしたお客様のお話をご紹介してもいいですか?

安田

ぜひお願いします!


岩上

50代の女性のお客様なんですけど、2カ月前にわざわざ東京から来店してくださったんです。

安田

え、わざわざ東京から茨城まで来たんですか?! 東京にもたくさん美容室はあるのに…(笑)。


岩上

そうなんですよ(笑)。もともとその方の息子さんが僕の娘の知り合いということもあって、東京からウチのお店に通ってくれているんですね。で、息子さんはハウオリをしてくれているんだけど、回を重ねるごとにどんどんカッコよく変わっていて。その様子を見ていたお母さんも「私もやりたい!」って来店してくださったんです。

安田

へぇ〜すごいですねぇ。2カ月ぶりに来店されたお母さん、どんな様子でした?


岩上

その方、初回はハウオリとカラーをやったんですが、髪も明るく綺麗になったし、お友達からの評判もすごく良くて、とっても気に入ってますって言ってくださって。ただハウオリはまだ1度しかやっていないこともあって、「正直なところ、朝のセットが大変なのはあんまり変わらないのよね」って。

安田

ふむふむ。そこで岩上さんは新たな提案をしたわけですね?


岩上

そうです(笑)。「ハウオリプレミアム」という、薬剤とハウオリをかけ合わせた縮毛矯正のメニューをご提案したんです。ところがこのメニューって、施術時間が4時間ちょっとかかるんですよ。

安田

ほう。その方はもともと何時間枠で予約していたんですか?


岩上

2時間半です。そして当然、その方の後にも他のお客様の予約が入っている状態でした。だからその方には「ちょっと待っていただくことにはなりますが、もし時間に余裕があれば追加でできまけどどうしますか?」って。そうしたら「時間は全然問題ないので、やりたいです」って言ってくださって。

安田

へぇ〜すごい! じゃあ岩上さんはその方に新しい提案もしつつ、他の予約客の施術もしつつ…だったわけですね。大忙しじゃないですか(笑)。 で、結果はどうでした?


岩上

もうね、大満足いただいて、ものすごく喜んでいただけました! しかもその日は息子さんも一緒に来店されていたので、お支払いはお2人合わせて10万円くらいだったんです。

安田

はぁ…1回の美容室代で10万円…。でもせっかく茨城まで来て岩上さんにやってもらうんだったら、それくらいは全然惜しくないんでしょうね。


岩上

そう思っていただけているのならば、僕も嬉しいですね。

安田

いやぁ絶対そうですよ。以前の対談で、わざわざ海外から日本の美容施術を受けに来る外国人が増えているってお話もありましたけど、「自分にとっての大正解」を提供してくれる美容師さんのところには、距離や価格なんて関係なく人は集まるんだということがよくわかりました!


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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