第65回「感情が見えるミライ」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第65回  「感情が見えるミライ」

マスクが当たり前になり、表情を読み取ることが難しくなったと言われます。特に、未就学児は、大人の表情が見えず、人の感情を読む力が落ちることが懸念されています。
私はマスクが無くとも人の感情を推し量るのが苦手なタイプ(笑)。ですが、このデバイスがあれば、そんな悩みも過去のものとなるかも知れません。


特許第6904496号(権利者:I-PEX株式会社)
【発明の名称】匂い検出装置、匂い検出方法及びプログラム

商標登録第6215197号(権利者:同上)
【商標】noseStick
【指定商品/役務】臭気の検出用・分析用及び認識用のセンサー など


「noseStick」は、スマホに挿すだけで特定の匂いを計測できるデバイスです。匂いの見える化を実現するこのデバイスには、「匂い分子のパターン」を識別する複数の素子から成るセンサーが組み込まれています。
「noseStick」の面白いところは、組み合わせるアプリごとに様々な使い方ができるところ。農作物の成熟度を判別するアプリや工場の危険臭気を検知するアプリ、アルコール消毒の度合いをチェックするアプリなど、様々なシーンを想定したアプリの開発が進んでいます。
中でも興味深いのは、手のひらの匂いによる感情分析アプリ「御機嫌如何(ごきげんいかが)」です。

手のひらを「noseStick」にかざすことで、「高揚している」「落ち込んでいる」「気が張っている」「気が緩んでいる」の4つの気分の割合が判明します。手のひらが発する物質は、その時々の状態や感情によって変化することから、「noseStick」での検知とAIによる分析を組み合わせることで、手をかざした人の「御機嫌」を表示することが可能です。

未来コンパスが指すミライ

匂いと感情が紐づくようになると、一見すると分からない実情、例えば会社の雰囲気などを可視的に表示できるようになるかも知れません。
たとえば、従来は「元気がない」と烙印を押されていた静かな雰囲気の職場が、実は「集中」や「高揚」の割合が高く、「仕事に没頭できる職場」と見直されることもあるでしょう。
もちろんネガティブな点も焙り出されます。A事業部のメンバーは、いつも「落ち込んでいる」「気が張っている」の指数が異常に高いとなれば、上司のハラスメントが疑われます。将来、匂いデータが、労務問題の証拠の一つとなる可能性もゼロではないでしょう。

さらに一歩進むと、集まったデータから、ハイパフォーマーと匂いの関係を導き出せるかも知れません。たとえば、広告代理店で結果を出す人が好むのは、「高揚」と「落ち着き」の割合が8:2の匂いといった具合です。こうした好みの匂いを使って、自社に欲しい人材だけを集められる会社説明会が催せるとしたら、どうでしょう。「匂いを使った採用」といったカテゴリーが生まれるミライが来るかも知れません。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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