氷河期世代といわれる自分が求職をしていた昔とくらべて、いま就職活動中の若い方をいいなと思うところがあります。
それは初任給が高いこと、もまあありますが、なにより企業が自身の内面を言語化して、伝える努力をしていることです。
大企業ではりっぱなカタログ的な情報発信ができあがっており、そういう意味ではあまり変わりないかもしれません。ちがうのは中小です。中小企業がミッションビジョンバリューを自身でまとめて、発信するというようなことは、かつてはまったく考えられないことでした。
おそらく時代が進んでその重要性がトップの中で上昇したのでしょう。実際、求人のアピールという以上に企業文化を外部に示すことは非常に重要なことです。ミスマッチを未然に防ぐために有効ですし、なにより有用なのは採用の後でしょう。
ウチはこんな価値観でやってますよ、という空気を明文化して伝えておくことで、「ノリが合う人」が入る可能性があがります。キャリアの内容を問わず、ノリが合う人同士は圧倒的にやりやすい。
濃い体育会系のノリの会社があるとして、それがいいのか悪いのかは誰かが判断するものではありません。ただ、日常的なやりとりにおいて、個人レベルの文化の周波数が近いことはコミュニケーションの伝達効率を高めるのです。これはある意味、恋愛に近いといえます。
ただ、この「ノリの相性」は、会社選びのテクニックというより、そもそも日本の労働契約の性質そのものに根ざしている気がします。
数十年前と比較して、ハラスメントに対するリテラシーなど部分的な変化はありましたが、日本の会社文化は根本的には維持されつづけているように思います。つまり、疑似家族的、疑似夫婦的な関係です。
大人になってから知り合った者同士が労働契約でつながって、仕事をしながらも過ごし方は家族的なノリが根強く支配します。そこでは能力と成果で測られているように見えることが、じつはちょっとした人間的なふるまいの方が影響が大きかったりはしないでしょうか。
たとえば衝突が避けられ、能力不足のベテランにもやさしい職場だったとき。
それは経営者や周囲が許せば何の問題もないかもしれませんが、上昇志向のある若手には許しがたいかもしれません。
こんなところで年月を過ごせない、と思った若手が次の職場を探すのは、キャリアアップの戦略というより、価値観の食い違いに耐えられなかった結果でもあります。
いわば、配偶者を一方的に見限った熟年離婚の心境に近いのかもしれないのです。
















