第8回 稼ぐためのセルフプロデュース

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第8回 稼ぐためのセルフプロデュース

安田

今回は、岩上さんに「稼げる人、稼げない人の違い」についてお伺いしたいなと。世の中にはやっぱり、稼げる人と稼げない人がいるじゃないですか。


岩上

ああ、確かにいますよね。本業副業関係なく、人気がある人もいればない人もいる。

安田

そうですよね。岩上さんご自身も人気美容院を経営されている、つまり「稼げる人」なわけですけど、その一番の違いは何だと思いますか?


岩上

そうですねぇ。「この人ならきっとやってくれるだろう」という期待感を持てるかどうか、じゃないですかね。逆の視点で言えば、お客さんにそう思ってもらえる方法を考えられるかどうか。

安田

なるほど。わかりやすいです。


岩上

「資格を持っていれば稼げる」みたいに言う人もいますけど、資格を持っているのに稼げていない人はたくさんいますしね。

安田

確かにそうですよね。「せっかく大金を払って資格を取ったのに、全然稼げない」みたいな話をよく聞きます。でも、そう考えると岩上さんってすごいですね。無資格に近いような見習い時代から、たくさん指名を受けていたんですよね?


岩上

ありがたいことに(笑)。シャンプーしてるだけなのに「次回はあなたが切ってよ」なんてよく言われてました。

安田

それもやっぱり、期待感が理由ですかね。


岩上

そうだと思いますね。シャンプーしながら話をする中で、「この人、なんかいい感じに切ってくれそうだな」と感じてもらえたんだと思います。

安田

なるほどなるほど。そして現在の岩上さんは、「髪を切りに来てくれたお客さんのお客さん」にどう期待感を持たせるか、まで考えている。つまり、例えばヨガインストラクターの方が髪を切りに来たら、「どういうスタイルにすればヨガ教室のお客さんに期待感を持ってもらえるか」を考えて、いろいろな提案をされるわけでしょう?


岩上

そうですね。経営者のお客さんの場合は、そういう視点でスタイルを提案することもあります。その人の魅力が伝わりやすい髪型やカラーにすることで、ビジネスチャンスが広がることもあると思うので。

安田

仰るとおりですね。昨今はSNSなどの発達もあって、「何を売っているお店か」だけじゃなく「誰がやっているお店か」で選ぶ人も増えている。そういう意味でもセルフプロデュースがより重要になってきたと言えますよね。


岩上

その通りだと思います。うまくキャラクターが作れるかどうかが、集客や売上に大きく影響する時代になってきました。

安田

ただ一方でね、意外と人間って自分のことをわかっていないというか。お客さんとコミュニケーションをする中で「あ、この人自分の持ち味を誤解しているな」と感じることはありませんか?


岩上

ああ、そう感じることはよくありますね。そういう場合は、もちろん状況に応じてですけど、「僕からも提案させてもらっていいですか?」とお伝えしたりして。

安田

なるほどなるほど。その結果、お客さんが当初考えていたのとは別の髪型になったりすることもある?


岩上

そういうケースもよくあります。安田さん仰るように、自分に似合うスタイルって本人には意外とわからないものなので。

安田

そうなんですよ。何しろ私自身、以前知り合いの社長から「君はダサい」と言われて大変ショックを受けたことがありまして(笑)。それ以来、美容師さんにすべてお任せするようにしています。髪型だけじゃなく、洋服もお店の方にすべて選んでもらっているし。


岩上

へぇ、そうなんですか。でもいい考えだと思いますよ。彼らはそういうことのプロなわけですから。

安田

仰るとおりですね。「人間って案外自分を客観視できていないんだな」と実感するようになりました。そういう意味でも、美容師さんやショップ店員さんからの提案には価値があるなぁと。


岩上

そうですね。ただ、こと美容業界に関して言うと、まだまだ教育が足りないと感じています。つまり、お客さんの持ち味を見抜き、相応のスタイルを提案する力がない美容師がまだまだ多い。

安田

ふむ、そうなんですか。


岩上

「完成された髪型を再現する」ことは皆さん可能です。ただ、提案力という意味では不十分ですね。たとえば、その日作ったスタイル維持のためのシャンプーやワックスがあっても、それを上手にオススメできない。どこか押し売りのような雰囲気になってしまう。

安田

それはつまり、一方的に説明する感じになってしまうということですか?


岩上

ええ。実際はお客さん自身が望んでいる、必要としている商品なのに、それが伝わっていない。お客さん自身に「ああ、これは購入した方がいいものだ」「私に必要なものだ」という気付きを与えられないんです。

安田

ははぁ、なるほど。営業マンの世界で、「自社の商品をひたすら説明する人は売れない」とよく言われますが、それと同じですね。


岩上

そうそう。取扱説明書をそのまま読んでいるようなね(笑)。

安田

笑。要するに、お客さんの立場からの説明じゃないってことですよね。


岩上

まさに仰るとおりで。たとえば私達が開発した「ハウオリ」という髪質改善技術があるんですが、成分とか技術内容をそのまま説明しても、お客様にはチンプンカンプンです。

安田

そうでしょうね。細かい数字とか専門用語を聞かされてもね。


岩上

そうそう。それよりビフォーアフターの写真などを見せて、お客さんの悩みがどう解消するのか、どう理想に近づくのかを伝えたほうがいい。

安田

そりゃそうですよね。特に「ハウオリ」は今までにない新しい商品ですし、お客さん側がイメージできる説明は必須でしょうね。ちなみに「ハウオリ」の評判はいかがですか?


岩上

中目黒の美容師さんが「ハウオリ」を導入してくれているんですが、ほとんどのお客さんが喜んでくれているようです。

安田

おお。素晴らしい。自分の開発した商品がお客さんに求められるって、本当に嬉しいですよね。


岩上

ええ。それに、美容師さんに気に入ってもらえるのも嬉しいですね。その中目黒の美容師さんも、お客さんにハウオリをオススメしまくってくれているようで、「私、完全にハウオリハラスメントです」なんて言ってました(笑)。

安田

面白い表現ですね(笑)。


岩上

お客さんから「またハウオリの話をするの?」と呆れられるくらい案内してくれているようです(笑)。結果、そのお店では既に鉄板商品になっているとか。

安田

へぇ〜、すごいですね。まぁでも、実際に効果があるからこそ、定着しているんでしょうね。


岩上

そうですね。ハウオリは、家で言うと「土台を改善する」みたいな商品で。だからその後のカットやカラーの仕上がりにも大きな差が出てくる。お客様の持ち味は様々でも、髪質がよくなって困る人はいませんから。

安田

なるほどなぁ。私もちょっと髪が伸びると「いつもここの髪だけが膨れてきて困る」みたいなことがあるんですが、ちょっとハウオリを試したくなってきました(笑)。


岩上

ぜひぜひ(笑)。ハウオリを受けてもらうことで、こちらの提案の幅も広がりますしね。

安田

なるほど。つまり「セルフプロデュースの幅」も広がると。結果、「稼げる人」になれる可能性も上がるということですね。


岩上

あ、そういえば今日はそういう話でしたね。うまくまとめてくれてありがとうございます(笑)。


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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