コミュ障経営者のギモン その14「生(なま)」

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なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

生(なま)

食パンって美味しいですよねー♪
僕の好きな食べ方は、厚切りの食パンにバターが染み込みやすいように切れ込みを入れ、トーストします。
そして、めちゃくちゃバターを塗りたくってカロリーを激上げしたものが大好きです。
あぁ、食べたい!

僕は名古屋に住んでますから、「え?名古屋だから、小倉トーストじゃないの?」って思われるかもしれませんが、生粋の名古屋人でも甘いもの嫌いな人や小倉が苦手な人はいますからね。
多分、名古屋であっても、食パンの食べ方で多いのは、小倉よりもバタートーストの方だと思います。
同じように「名古屋と言えば赤味噌だから、とんかつは味噌カツ(赤味噌のソース)でしょ?」ってのも、普通にとんかつソースで食べる人もたくさん居ますからね。

そう言えば、食パンなんですけど、今は「生食パン」って言葉ができるんですが、ご存知ですか?
乃が美という食パン屋さんが発祥なのかな。
というか、彼らは“高級「生」食パン”を商標登録しているそうなので、生食パンって言葉を彼ら以外に安易に使えないってことかもですけど。
トーストせずに食べるのが美味しい食パンで、耳まで美味しいって売り出してますよね。
名古屋にもお店があって、昔、友人からいただいたことがあります。
鮮烈に記憶に残るような味ではなかったですが・・・
それに、まぁ、食パンですし、限界ありますよね・・・
そもそも、トーストしてバターでベチャベチャにするのが好きってくらいですから、僕の舌で繊細な味は感知できないんですけども。

「生」と言えば、生チョコや生キャラメルってありますよね。
それらもぶっちゃけ、「ゆるい」チョコ/キャラメルなわけですよね?(めちゃくちゃ乱暴な表現ですが)
ゆるくするために製造工程は変わってくるんでしょうけども。
そう考えると名称って大事ですよね。
名称がマーケットを決めるっていうか、その名称を冠することで、今までとは違うマーケットを開拓できる可能性がある訳ですし。
だって、「ゆるいチョコ」なんて「生チョコ」って言い方しなかったら(そのマーケットを創ってなかったら)、「何これ、溶けてるやん!?」ってクレームですよ。
ところが、「生チョコ」って言い方にして、マーケットを創ったことで、溶けてることが「有り」になった。
そして、不思議なことに、それをありがたがる人がたくさん出てくるわけです。

「生」に便乗して!?「生」を頭に付けた物ってたくさんありそうですよね?
「生」をつけるだけで、ちょっと印象変わりますし、それで開けるマーケットってありそうですからね。
生野菜や生肉、生麺のように素材の状態を表現するのは除外して、ある程度調理をしているのに「生」を謳っているものが無いかちょっと調べてみると・・・

生マシュマロ
生かりんとう
生羊羹
生梅飴
生アイス
生クッキー
生せんべい

・・・とすぐにいくつも見つかりました。
今回は、「生」という言葉を使ってそうなところを想定して、お菓子関係を中心にササッと調べてみました。
常識的に「固い」や「焼いてある(火が通っている)」と思っているものに、「生」をつけると意外性が高まって、ちょっとマーケットをズラすことはできそうですね。

ただ、もうよく分からないものもありますよね。
「生」ってつけることで、「ゆるい(やわらかい)」や「焼いていない」という印象を付けているとすれば、そもそも柔らかくて、焼いてもいない「アイス」についてくるとは(汗)
「生じゃないアイスってあるのかよ?」ってツッコミを恐れないこの姿勢にむしろ感服するというか、商魂たくましいというか・・・
「生アイス」と検索して出てきたのはあるメディアのインタビューでした。
そこでお店の方はこう話しています・・・

わたしが定義する「生アイス」とは、自然で高品質なものをシンンプルに、より新鮮な状態で提供するアイスのこと。

・・・ふむふむ・・・
もはや生とか関係ないやないか!?疑惑が・・・(汗)
生野菜的な意味合いで、「新鮮です」ってことなんでしょうかね、きっと。
気になったので、生(なま)の意味で、このケースで該当しそうなものがあるのか調べてみると・・・

食物などを煮たり焼いたりしていないこと。
加熱・殺菌などの処理をしていないこと。
また、そのさま。

・・・というのがgoo辞書で出てきました。

もしかすると、このケースでは、生(なま)ではなく、生(き)のニュアンスを含んでいるのでは!?(生(き)醤油とかね)って思えてきますよね。
じゃあ、生(なま)醤油ってあるのかな?って気になったので調べてみると、ある醤油屋さんのブログを見つけました。
それによれば・・・

生醤油(きじょうゆ)とは、火入れして微生物の働きを失活させ、その後何も加えないしょうゆの事を言います。(アルコールや保存料を加えたら、き醤油とは言えません)

生醤油(なましょうゆ)とは、微生物をろ過してボトリングしたお醤油の事です。火入れは行いません。

・・・とのこと。

この定義を「生アイス」に当てはめて考えてみましょう。
醤油の火入れというのが何度なのかはわかりませんが、殺菌を目的にしたものであれば、牛乳のいずれの殺菌方法でも火入れしたことのなると思います。
というのも、低温保持殺菌(LTLT) でも60度ちょっとまで温めますからね。
その牛乳などの素材を使って、製品(アイス)となった後には火入れなんてやりませんから。
となると、「生アイス」って言えそうですよね。

・・・

・・・

・・・

それって、普通のアイスやないか!!

※なお、この生アイスのお店にゼラチンなんかを入れて煮沸するという工程があるかどうかわかりませんので、ここでは考慮していません。

どうやら、僕らは「生」という言葉に何か特別な感情を抱いてしまっているようですね。
「生」という言葉は、僕らの勝手な解釈をして、勝手に期待してしまうという不思議な言葉です。
そう考えると、ネーミングのときには、勝手に深読みさせて、期待させるような言葉を使ってネーミングするというのが良いかもしれませんね。

弊社には、サービス名や社名を考えて欲しいというご相談も多いので、「株式会社 生◯◯」というのを真面目に提案していく可能性が出てきましたね。

あと、今更なんですけど・・・
冒頭で名古屋人についてドヤって書いてますけど、実は僕、三重県出身なんです。

 

著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

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