第3回 健康と幸せの関係

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第3回 健康と幸せの関係

安田
今回は「健康と幸せの関係」についてお聞きしていきたいんですが。考えてみると、健康と幸せって常にイコールってわけじゃないんですよね。

久保
確かにそうですよね。健康だけど不幸な人もいるでしょうし、不健康だけど幸せって人もいるかもしれない。
安田
そうそう。だから健康と幸せって実は関係ないんじゃないかとも思うんですけど、一方で、やっぱり健康ってものがすべての源泉のような気もして。そのあたり久保さんはどう考えられてるんですか?

久保
そうですね。健康だから人生のすべてが達成できるかと言うと違いますからね。そういう意味では健康って「スタートラインに立つ」ってことでしかないと思いますね。
安田
なるほど。でもそうは言っても、健康を損なうことで失うものも大きいですよね。例えばスポーツ選手なんかだったら、動けなくなるっていうのは死活問題なわけで。

久保
仰るとおりですね。家族を養うという意味でも、何らかの形で働かなければなりませんし。最近はデスクワークが増えて肉体を酷使する仕事は減ってますけど、それでも健康であった方が長時間集中できるのは間違いない。
安田
ということは、健康というのは幸せの必要条件ではあるけど、十分条件ではないと。

久保
そうですね。そう思います。
安田
先日もね、お酒の話をしたじゃないですか。玄米から白米になる仮定で栄養のほとんどはなくなってしまう。だから純米大吟醸は栄養のないカスなんだと。

久保
しましたね(笑)。
安田
それはわかるんですけど、でも純米大吟醸って美味しいし、私は好きなんですよ。逆に玄米はね、昔はよく農家の友達が送ってくれて何度かチャレンジしたんですけど、正直言ってまずくて食べられない。

久保
確かに白米に比べると食べにくさはあるかもしれませんね。
安田
だから私はやっぱり「美味しいものを食べて好きに生きたい」っていうのがあるわけです。だけど好きなもの好きなだけ食べて健康でいられるかと言われたら、それは無理だとも思うんですよ。

久保
そうですよね。ある程度節制するからこそ、食べた時に美味しいな、幸せだなと感じるわけで。
安田
そうそう。だけど逆にね、玄米だけを食べてどれだけ健康でも、それは嫌だなと思うわけですよ。そのあたりはどうバランス取ったらいいんでしょうね。

久保
そうですねえ。まあ、そもそも美味しいものってけっこう体に悪いものが多いんですよね(笑)。甘いものとか香ばしいもの、ちょっと焦げてるものが美味しかったりする。ホットケーキなんか、こんがり焼けてた方が美味しいわけで。
安田
確かに。でもなんで美味しいものって不健康なんでしょう。健康にいいものを美味しく感じさせてくれてたら、こんな楽なことはないのに。

久保
確かにそうですよね(笑)。でもまあ、例えばお酒がすごく好きだとして、それを24時間飲み続けたらそれは幸せでしょうか、という話でもあると思うんですよ。
安田
それは間違いなく不幸ですよね。だから私もね、飲み放題はよくないと思いますよ。でも、かといって「健康のために一滴も飲みません」っていうのが、本当に幸せなんだろうかと。

久保
そうですねえ。それで言うと、添加物ってものがありますよね。これは一般的に「悪いもの」と言われがちですけど、逆に添加物を一切使わずに今の生活水準を保てるかと言われたらかなり難しいわけですよ。
安田
それはそうでしょうね。

久保
ええ。なので、「体にいいものではないけれど、必要なもの」つまり必要悪なんです。で、重要なのはこういう必要悪を排除することではなくて、何をどれだけ摂取するかを決めることだと思うんです。
安田
ははあ、なるほど。先ほどの「美味しいけど体に悪いもの」についても同じことが言えると。

久保
そういうことです。状況に応じて、必要なものを必要なだけ取り入れる。そのためにまずは何が体によくて何が悪いかを知ることですよね。知識があれば、今まで知らず100取り入れていた悪いものを、意識して80にすることはできる。
安田
摂取しているものが体にどういう影響を与えるかについて、自覚的であるのが重要だと。

久保
ええ。あるいは摂取だけでなく、上手に排出させる方法を勉強する、という方向もあります。食べるのはある程度仕方がないけど、うまく出していこうと。そうすれば100が80になり、出すことで60とか50にすることもできる。
安田
そうなれば、知らずに100とっていた時の半分ですもんね。

久保
そうそう。ですから「今日から江戸時代みたいな食生活にするぞ」というのは非現実的ですけど、ある程度現代の生活の便利さを享受しつつ、知識を得ながら上手にバランスを取っていく、というのがいいのかなあと思いますね。
安田
なるほどなあ。ともあれ、今回のテーマである「健康と幸せの関係」って話に戻るとすると、「健康で幸せ」っていうのが一番いいわけですよね。逆に「不健康で不幸」というのが最悪だと。

久保
そうですね。それは当然として、実際には「不健康だけど幸せ」「健康だけど不幸」っていう状態があるって話でした。
安田
そうですよね。なのでやっぱりそこのバランスが難しいんですよね。個人的には、多くの人は「不健康だけど幸せ」の方を取っちゃうんじゃないかなあと思うんですよ。

久保
そうでしょうね。だから多少体に悪いとわかっていても食べるし、体に負担がかかるとわかっていても運動しちゃう。
安田
ええ。特にこれだけ情報過多の時代だと、ある程度の不健康は受け入れざるを得ないんじゃないかと思っちゃいますね。そのあたりは久保さんいかがですか?

久保
そうですよねえ。たとえば親子関係でもね、子どもの健康が大事だからって、「お砂糖は体に悪いから誕生日ケーキはなしよ」っていうのが正しいのかと言うと、ね。
安田
年に1回の誕生日くらいはいいじゃないかと。

久保
ええ。私も食に関わって長いですが、成分的に体にいいか悪いかは置いておいて、子どもが「美味しい!」って笑顔で食べてる姿はね、やっぱりいいものですよ。要はだから、結局バランスです(笑)。
安田
そうなりますか(笑)。まあ、365日ケーキを食べ続けるわけじゃないですもんね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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