第46回 寿命を延ばすための食事の取り方

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第46回 寿命を延ばすための食事の取り方

安田
最近「食事」について疑問に思っていることがありまして。「人間の体は食べたもので作られる」というのは当たり前ですが、そのことを普段から意識している人がどれくらいいるんだろうと。

久保
あまり多くはないかもしれませんね。筋トレを頑張っている人なら「タンパク質を多めに摂取しよう」とか「食べる順番に気をつけよう」という風に考えているかもしれませんけど。
安田
そうそう。大多数の人は「お腹が空いたから何かを食べよう」」程度にしか思っていない。つまり空腹を満たすために食べている。でも実際は「体をつくるための食事」もすごく大事ですよね。

久保
仰る通りです。食事って単なるカロリー摂取ではないので。
安田
ですよね。まぁ、働き盛りの若者ならまだしも、我々くらいの年齢になってくると、「体をつくる」必要はもうあまりないのかもしれませんけど。今さら筋肉ムキムキになる必要もないわけですし(笑)。

久保
笑。確かにムキムキになる必要はないかもしれませんが、年齢に関係なく「体をつくる食事」はすごく大事なんですよ。
安田
え、そうなんですか?

久保
ええ。高齢の方でも、細胞は日々生まれ変わっているわけで。体を作る材料となるタンパク質や、細胞膜を作る脂質はどうしても必要です。
安田
確かに、言われてみればそうですね。私たちは死ぬまで新陳代謝を続けるわけで。ちなみに細胞が全て入れ替わるのって、どれくらいの周期なんでしたっけ?

久保
体の部位によりますね。例えば皮膚は28日間でターンオーバー、つまり新しい細胞に入れ替わると言われています。骨だと1〜2年かかりますが、胃の粘膜なんかは3日で変わっちゃいます。
安田
へえ! 3日で。それにしても、部位によってそんなに違うものなんですねぇ。

久保
ええ。体全体で考えると、3ヶ月ほどで多くの部分は入れ替わると言われていますね。
安田
3ヶ月ですか。運動にしろ美容にしろ「とりあえず3ヶ月は続けてみましょう」と言われるのはそういう理由なんですね。

久保
まさにそうです。私もお客様に新しいサプリメントをオススメする時には「ひとまず3ヶ月続けてみると効果が実感できるようになりますよ」とお話しています。
安田
その「だいたい3ヶ月」というのは、どんな年齢の人でも関係なく同じですか?

久保
あ、いえいえ。細胞の入れ替わりスピードが一番ピークを迎えると言われている20歳前後の基準です。
安田
なるほど。じゃあ私なんかはもう少し遅くなるわけですね(笑)。

久保
そうなりますね(笑)。ちなみに安田さんは今、タンパク質・脂質・炭水化物はどのくらいの割合で召し上がられていますか?
安田
割合ですか? 全くわからないですね(笑)。一応、なんとなく健康に良さそうなものを選んで食べていますけど。添加物は取らないようにとか、野菜もちゃんと食べようとか、その程度です。

久保
ですよね。ほとんどの人はそうだと思いますが、一応は目安がありまして。
安田
ほう、ぜひ教えていただきたいです。

久保
まずタンパク質が17〜20%程度ですね。これは肉や魚、大豆、乳製品などから摂取できます。
安田
いわゆる体を作る代表格、みたいなものですよね。

久保
ええ、そうです。で、次に脂質。これは25〜30%ほど必要だと言われています。
安田
え、そんなに必要なんですか?! 脂質って要は脂肪のことですよね。脂肪なんて百害あって一利なしだと思っていました。

久保
よく誤解されてしまいますが、全くそんなことはなくて。というのも、先ほども言ったように脂質は細胞を作るために重要なんです。特に脳は6割が脂質でできているんですよ。
安田
へぇ! そうでしたか。じゃあ霜降り肉もたくさん食べた方がいいわけですね!

久保
いえ、それはちょっと…(笑)。というのも脂質にも動物性や植物性のもの、それから魚から取れる油など、いろいろな種類があって。それらをバランスよくとるのが理想なんです。
安田
なるほど。一口に「脂質」と言ってもそんなにいろいろな種類があるわけですか。それは知らなかったです。

久保
脂肪には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があって、飽和脂肪酸がいわゆる霜降り肉のような「動物性脂肪」の中に多く含まれています。一方の「不飽和脂肪酸」は、オメガ3とかオメガ6とか呼ばれるものなんですが…。
安田
あぁ、それは私も聞いたことがあります。そうか、それも脂質の一種だったんですね。

久保
そうです。どの脂肪も体の細胞を作るためには非常に大事な要素になるので、「この油だけを摂取していれば大丈夫」とはならない、というわけです。
安田
なるほど。「バランスが大切」ということですね。今のお話だと、タンパク質と脂質でだいたい全体の40%くらいですよね。ということは体のエネルギーとなる炭水化物は60%ほどの割合で摂取すればいいんでしょうか?

久保
はい。それくらいの割合で摂取することで、一番長生きできるという風に言われています。
安田
そうなんですね。体を作るのに必要なタンパク質と脂質で4割…結構多いんですね。私くらいの年齢だったら、もう8割9割がた「体を動かすため」に必要な炭水化物だけ取っていればいいのかと思っていました(笑)。

久保
笑。以前、ファスティングをしていても便は出るというお話をしましたが、何を食べていない状況でも体内の細胞は常に入れ替わっているんですね。だから「新しい材料」を体に入れてあげないと、体は当然弱っていきますし、老化スピードも早まってしまうんです。
安田
なるほどなぁ。でもよくよく考えると、効率よくタンパク質や脂質を取れる「肉」を日本人が食べ始めたのって明治時代くらいですよね? それまでの日本人は、体を作るための栄養素は足りていたんでしょうか。

久保
はい。明治時代よりも前、例えば江戸時代なんかは、お米と味噌汁に漬物といった一汁一菜の食事スタイルでしたよね? つまり、タンパク源は大豆がメインでした。
安田
ああ、なるほど。植物系のタンパク質で体を作っていたんですね。

久保
ええ。江戸時代の人って、肉食中心の西洋と比べ粗食だったこともあって、小柄な人が多かったと言われています。でも植物系タンパク質をしっかり摂っていたので、むしろ現代人より丈夫だったらしいですよ。
安田
江戸時代の人の方が、持久力があったり、力が強かったり、めちゃくちゃ速く走れたらしいって聞きますもんね。

久保
そうなんですよ。それはおそらく、味噌や醤油といった「発酵食品」を毎日食べていたからだとも言われていて。体を活性化させて、酸化させないような食事が自然とできていたんでしょうね。
安田
要は、今で言う「アンチエイジンク」ができていたんですね。今私が毎日ナゴミソルトを摂って活性化させているように。

久保
仰る通りです。あとは食べ過ぎることも少なかったでしょうしね。それも健康には重要なことで。
安田
ああ、そうか。以前、空腹のほうが体を活性化させるスイッチが働きやすいと教えていただきましたね。

久保
そうですそうです。人間の体は「満腹」の場合の対処法はあまり持っていなくて。だから適度な空腹が、体にとってはベストな状態なんですよね。
安田
ということはですよ? 現代人である私や久保さんも、お米と味噌さえ食べていれば、肉体の維持をしていくことは可能なんですか?

久保
可能ですね。ただ、血液を作ったり神経を修復したりする作用のある「ビタミンB12」は肉にしか入っていないので、そういう意味では多少は肉を食べる必要もあります。だからといって、「肉をたくさん食べないと体は作れない」わけではありません。
安田
なるほど。これからはいろいろな食材から摂取するタンパク質・脂質・炭水化物の割合をしっかり意識して、健康寿命を伸ばしていけるように頑張ります!

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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