【読むPodcast | マネトレ8-後半】大久保圭太の「財務アタマを鍛えるラジオ~マネトレ~」第65回

テーマは「中小企業社長です。社員に株式を持たせたるべきでしょうか?」(音声はこちら
前半では、株式会社に投資をしたオーナーである社長の立ち位置を確認し、社員が株式を持つ目的を整理していきました。後半では社員の投資家観点から質問テーマを考えつつも話は思わぬ方向へ。

>>>大久保圭太氏のプロフィール

大久保

バイアウトするんだったら、仮に社員に少しエグジットのお金が入るっていうんだったらやってあげても良いけど、社員も辞めたりするからね、それを考えてないならややこしいよね。

円道

嫌ですね。

大久保

うん、辞めたときに持たれてても、今度は売れなくなったりする。商品の所有権だから。株って。

円道

会社のね。

大久保
そう、会社という商品の所有権だからあんまり気軽に渡さないほうが良いとは思う。一緒にエグジットしようぜって思って何パーか渡して売るとかだったら分かるけど。
円道

頑張りますしね、一緒にだったら。

大久保

そうそう、そういう発想でやるなら良いけど、そうじゃないんだったらあんま要らないんじゃないかな。だったら賞与上げたほうが良いし。賞与上げたら彼らは投資家としてビットコインを買うかもしれない(笑)

円道

個人でね。

大久保

そう、個人で。

円道

個のオーナーとしてね。

大久保

ある種投機的だけど、もしかしたら1番勝てるかもしれないしね。シンガポールとか行って思うけど、会社はホント商品だよね。「飲食店を始めます」と言って会社を作って、場所借りて、内装やって、社員雇って、ライセンス取って、なんてやらずに買うよね。

円道

ある物を買う?

大久保

そう、ある物を。そのほうが早いじゃん?

円道

それはスタッフも含めて?

大久保

含めて。日本の場合は、社長がM&Aするっていうときに社員に言えないし、まあ言わないほうが良いケースも多いんだけど…。だからなんか可哀想じゃん、夜中に社長が決算書コピーしてるんだよ(笑)。可哀想だよね、マジで。

円道

まあ、でも、それはそうですよね、風土的には身売りされるみたいな感覚ですもん。

大久保

で、なんか「私たちを売った」みたいな。しようがない。箱の中での労働者だから。この言い方、すごい冷たく聞こえるね。

円道

これは言い方を間違うと危ないぐらいに聞こえますね。

大久保

でも、それはそういうもんだという理解をしたほうが良い。ひょっとして大資本に入ったりするケースもあるし、バイアウトして、これから再編もするから良いんじゃないの?と。だから、そもそも投資家の側面としてホントに自分の会社に投資して良いのか。自分が投資家として持ってるキャッシュを別の法人に投資して、あるいは仮想通貨に投資して利益を得て、その利益をどう運用していくか、みたいなことを考える。投資家としてのライフプランみたいなのを考えるっていうほうが必要なのかなっていうのをすごく感じちゃう。投資家ライフプランは誰も教えてくれないから、とにかく「頑張って働きます」みたいな。頑張って働いてもやっぱ、なかなかね、金融で食っていく世界には行けないよね。

円道

届かないというか、違う世界ですもんね。

大久保

そうそう。例えば、最低限2.2ミリオンぐらいUSドルで、プライベートバンクとか作っちゃえば金利で食えるじゃん?っていうのをやってるわけだよね。

円道

投資をしてる人たちは?

大久保

そう、してる人たちは。でも教えてくれないじゃん?例えば、今「経営始めます。頑張ってやります」って言って死ぬまで働くんだよ。60とかになってさ、「後継者いません」って言ってさ、苦しくない?って思うのよ。そうすると、例えば2億貯めりゃ、2億貯められるんだと思ったらそこまで頑張るし、最後売るかもしれないし、っていうのをやっぱもうちょっと俯瞰して考えるっていう…。なんかすごい金融資本主義の権現みたいな…。いや、俺は日本的経営が大好きですよ(笑)こんな風にいうけど、マジで。社会のお役に立つために働くっていう日本人の労働観は否定しないし、俺はそっちが良いとは思うが、分かってないと白人とは戦えねえじゃん?っていうことだよね。そう思ってる人たちが金融資本主義を作ってきたし、そういう時代だから、きちんと理解した上で、それでも後継者に継いでいくとかを考えていかないと不幸になる可能性があるよなと。

円道

じゃあ、シンガポールへの進出はあるんですか。日本的な労働観とは違う観点で、大久保先生のオーナー的な観点で、投資家的な感じで色々視察というか、活動されてきたんですか?

大久保

そうだね。

円道

言えないことだらけ?

大久保

いやいや、そんなことないよ。でも、ホントに人間って不思議ね、低税率に行ってもまたもっと節税したくなるのね。結構ブラックなことも聞いた。

円道

シンガポールには節税で行ったが、もっと、こう?

大久保

そうそう。普通に、だから、ちゃんとやれば良いんじゃない?シンガポールにちゃんと居住して。で、税率も低いし、あと、基本的には、配当は非課税だから。デイトレーダーとかはダメだけど。そうすると、給与抑えて配当で会社利益出して、法人税なんてしれてるんで、法人税納めたあと配当して非課税だから。そうすると個人の手残りが全然違うよね。それはもちろん向こうの居住者にならなきゃいけないとか、その辺はあんまり軽く考えてはいけない……。まぁ、やっぱりいた、相当問い合わせあるよね…仮想通貨。

円道

利確しちゃってっていう…。

大久保

利確する前だけど。

円道

向こうの居住者で仮想通貨でっていうことですか?

大久保

いやいや、日本の居住者でシンガポール行けば非課税じゃないかっていう相談。何人か会計士から話聞いてきたけど、問い合わせはすごいあるみたい。1、2件は、本当にシンガポールに来る、みたいなのも。

円道

でもいたんですね。

大久保

うん、いた(笑)

円道

気になるなあ(笑)。あんまり具体的に言えないんでしょうね。

大久保

やっぱり100パーセントは言えないから。で、あんまり問い合わせ多いから、一式移住パックで100万円でやってあげるみたいなのやったら、1人だけ「それで良い」って来たらしいんだよ。でも、「100パーセント大丈夫ですか?」みたいな、すげえ言ってきて。国際税務は100パーないからさ、はっきり言って。まあ、そんな話してもしようがないけどさ(笑)

円道

いや、生々しくて良いじゃないですか(笑)。でも、改めて、今日の話としては、経営とオーナーの分離の話を、ちょっと違う、投資家目線から話をしてくださったんでね。

大久保

そうだね、それぐらい振り切って言ったほうが通じるかなっていうのは、今話してて思った。

円道

その上で日本的労働観というのは別の軸としてあった上での、金融資本主義というのはそういう仕組みですよという話ですね。

大久保

そうそうそう。

円道

株式についてという大枠の話から、まさかそんな振った話になるとは思いませんでしたが。

大久保

すんません(笑)

円道

今のお話を聞いて、もうちょっと色々具体的に聞きたいと思うとこもあると思いますので、そういう質問もお待ちしております。というわけで、よろしいですよね。本日もありがとうございました。

大久保

ありがとうございます。

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