第184回 恐れるヒト、喜ぶヒト

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/恐れるヒト、喜ぶヒト

「Chat GPT、Bing、Bard、Bedrock」などなど、「米AI大手」が続々と開発・サービス導入を進めている「生成AI」

まるでヒトが書くような自然な文章で対話できる人工知能(AI)が注目されています。

幅広い分野の知識を備えるだけでなく、「旅行日程の提案」「論文作成」など、これまでの常識とは「別次元」の便利な機能を持っていますが、その一方で、誤った情報を創作することもあり、教育・ビジネスに与える「悪影響」も懸念されています。

「急速に進化するAIは、私たちにどのような影響を与えるのでしょうか?」

との問いかけで、某大手さんの「新規ビジネス創出mtg」が始まりました。

◆生成系AIのメリットは?

・様々な作業の効率化(クリエイティブワークも可能)
・新たなアイデア創出(0⇨1を生み出す作業は人間にしかできないと思われていたが、それも突破!)

⇨より「創造性の高い作業」も自動化できるようになった

◆生成系AIのデメリットは?

・新たなセキュリティリスク対策が必要
・責任問題に発展する恐れがある
・AI人材の採用コストが発生する
・維持コストが発生する
・ベンダーロックインが発生する可能性がある

⇨便利さが強調される一方で、「出力の真偽」「容易に悪用可能」「著作権保護」などのさまざまな問題についても指摘されている、、

「で、結局、どんなことに活用できるの?」

とのベテランからの問いに、

・文章の要約・添削・翻訳
・企画書・プレゼン資料の作成
・メールの件名・本文の作成
・プログラミングコード・関数の作成

「こんなことができちゃうんですよ!!」

と、声を弾ませて答える若手。

「そんなもん、自分で考えるからチカラがつくんやろ?」

と、声を漏らすベテラン。

・小説・料理などのアイデア提案
・楽譜の作成

「さらには、こんなクリエイティブな分野も対応可能なんです!!」

「めっちゃ、すごいですよね!」

若手の声は、さらに弾みます。

「それこそ自分で考えるから楽しいんちゃうの?」

と、しかめっ面でつぶやくベテラン。

大手各社の現場で、よく目にするシーンでもあります。。

「ベテラン層の納得」を引き出すには、

こんな回答がよろしいかと。

「生成系AIの強みは、、

・「定型業務」の効率化

・クリエイティブな提案の「補助」

・コンテンツの「ゼロコスト」作成

などを実現できます」

「サポートを得ることで、『売上向上』『コスト削減』などの課題解決につながるだけでなく、『新商品企画のアイデア創出』や、『新たな製品開発』などにも役立つことかと思います」

ベテラン層が求める「業務効率化や売上拡大」などについて、わかりやすく活用シーンをお伝えしていた若手のMくん。

「加えて、『炎上リスクの判断』だってできちゃうんですよ!」

との締めの言葉には、

「へーー、そんなんもできるんか!」

と、ようやく曇り空に晴れ間が見え出してきましたとさ。

恐れるヒト、喜ぶヒト、不審がるヒト、ワクワクが止まらないヒト。

様々な表情の変化に出会えたシーンでした。

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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