第334回 “脳内残業”という見えない勤怠

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/“脳内残業”という見えない勤怠

 

某大手さんの「法規研修」で、“労基法”をテーマに意見交換するセッションがありました。

生産性向上、働き方改革、残業禁止、ハラスメント撲滅。

ここ数年で、職場を取り巻くルールや言葉はずいぶん“健全”になりました。

「昔の働き方は異常だった」

「ようやくまともな時代になってきた」

そんな声がある一方で、参加者からはこんな本音も出ていたのです。

「まだまだ働きたいのに、“残業規制”で働けない」

「経験値を高めるには、質だけでなく“量も必要”ではないか」

もちろん、“長時間労働を美化する時代”ではありません。

ですが、労働時間を短くすれば、“すべての負荷が自動的に消える”わけでもありません。

そんな中で、管理職Hさんがぽつり。

「会社のPCもスマホも開けないんですが、休みに入っても職場のことが頭から離れないんです。“脳内残業が続いている感じ”で……」

週末になっても、職場のトラブル対応が頭から離れない。

月曜の報告、部下への声かけ、関係部署との調整、役員への説明が、頭の中で延々とシミュレーションされている。

勤怠上はオフ。

しかし、頭の中ではまだ仕事が続いている。

これは、“見えない残業”であり、“記録されない疲労”でもあります。

働き方改革は、長時間労働を減らしました。それ自体は間違いなく前進。ですが、仕事の責任や不安まで自動的に消えるわけではありません。

会社のPCは閉じられる。スマホの通知も止められる。けれど、通知は止められても、心配は勝手に通知してくる。

だからこそ、これからの職場には「仕事を終える作法」が必要なのかもしれません。

金曜の終業前に、「未完了事項」「月曜の初動」「誰に何を確認するか」だけを書き出す。

脳内で抱えるのではなく、外に置いて帰る。

仕事を忘れるためではない。安心して、また月曜に取りに戻るためです。

PCを閉じるだけでなく、頭の中の仕事もどう閉じるか。

これからの職場には、そんな“見えない勤怠管理”も必要なのかもしれませんね。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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