第48回「サウジアラビアに速度制限はあるのですか?」

日本人は中東を「イスラム教の国々」と一括りにしてしまいがち。でも中国・北朝鮮・日本がまったく違う価値観で成り立っているように、中東の国だって様々です。このコンテンツではアラブ首長国連邦(ドバイ)・サウジアラビア・パキスタンという、似て非なる中東の3国でビジネスを行ってきた大西啓介が、ここにしかない「小さなブルーオーシャン」を紹介します。

  質問  
「サウジアラビアに速度制限はあるのですか?」

   回答   

はい、もちろんあります。
速度制限は道路によって異なります。
45km/hまでの道路もあれば140km/hまでの道路もあり、罰則規定も少しずつ異なります。日本と大体同じですね。
表は140km/h制限道路の罰則例です。

https://lifeinsaudiarabia.net/ 記事より筆者作成)

速度制限の話で思い出しましたが、以前サウジアラビアでめちゃくちゃ飛ばすタクシードライバーに出会ったことがあります。
私は普段Uberでタクシーを呼ぶのですが、その日はスマホが電池切れだったので流しのタクシーを止めました。

日本のタクシーは自動でドアが開きますが、あちらでは自分で開けて乗るのが普通です。
しかしそのドライバーはわざわざ運転席から降りてきて、私の前に立って
「Nice to meet you! I like you!!」
と言いながらハジける笑顔で握手を求めてきました。
I like you と言っているので、もう既に好いてくれています。めちゃめちゃ陽気な人です。
助手席に案内され、行き先を伝えると、
「オッケーオッケー! 20分くらいで着くよ、マイフレンド!」

距離的に30分くらいはかかるだろうと思っていたのですが、早いに越したことはありません。
バタム、と扉を閉めるやいなや、ウヴォン! と車が急発進。
若干のけぞる私。スピードメーターを覗くと、早くも100km/h近辺を示しています。
驚くべき加速力です。
それなりに混んだ道にもかかわらず、車の間を縫うように軽快に車線変更を繰り返していきます。

車内に響くは大音量のアラビア風ダンスミュージック。
4つ打ちのダンサブルビートがドライバーを鼓舞するのか、車速が140km/hに届くまでに大した時間はかかりませんでした。
上の表からもわかるように、実際に罰金が発生するのは145km/hから。
つまり、140km/hを超えても4km/h超過まではバッファとして扱われるので、ギリギリ違反にならない速度を常に維持しながら走っているのです。
140km/hを超えると、体感速度はかなりのものになります。「いま私はアラビア半島で一番速いはず」と錯覚を覚えるほどでした。


(↑制限速度の看板。違反者をカメラで測定)

郊外の道路は広くて真っ直ぐなので飛ばしたくなる気持ちはわかりますが、車間距離を相当詰めますし、事故ったらイヤだなとヒヤヒヤしながら乗っていました。

彼の予言通り20分後に目的地に到着し、ドキドキのドライブタイムも終了。
お見送りの時も「サンキューサンキュー、マイフレンド!」と言いながら外に出てきてくれました。
そして一言、「I love you!」(え?)

乗車前と乗車後のたった20分の間に、LIKE からLOVE に変わっていました。
いくらなんでも早すぎるよ、と違う意味でドキドキしましたが、気持ちの変化には速度制限などないのでしょうね。

今回は速度制限についてのお話でした。超絶フレンドリーなタクシードライバーと出会いたい方は一度サウジアラビアへ足を運んでみてください。
シュクラン、マッサラーマ(ありがとうございます、ではまた)。

 

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 この記事を書いた人  

大西 啓介(おおにし けいすけ) 

大阪外国語大学(現・大阪大学)卒業。在学中はスペイン語専攻。
サウジアラビアやパキスタンといった、どちらかと言えばイスラム感の濃い地域への出張が多い。
ビビりながら中東ビジネスの世界に足を踏み入れるも、現地の人間と文化の面白さにすっかりやられてしまった。

海外進出を考える企業へは、現地コネクションを用いた一次情報の獲得・提供、および市場参入のアドバイスを行っている。
現在はおもに日本製品の輸出販売を行っているが、そろそろ輸入も本格的に始めたい。

写真はサウジアラビアのカフェにて。

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