第15回 食事を奢ることが自分の幸せにつながる?

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第15回 食事を奢ることが自分の幸せにつながる?

安田

中辻さんとはこれまでにも何度か一緒に食事をする機会がありましたよね。


中辻

ええ、安田さんに連れて行っていただくお店、いつもすっごく美味しいです!(笑)

安田

食べることが好きなので、店探しにはこだわるんですよ(笑)。だから基本的に私が選んだお店にお連れしていましたが、一度中辻さんイチオシのお店に連れて行ってもらったことがあったじゃないですか。


中辻

あ〜ありましたね、大阪のお店。

安田

正直言ってめちゃくちゃ驚いたんです。「こんなに高級なお店が行きつけになるの?!」って(笑)。当時はまだ社員さんで、そこまでお金を稼げているわけじゃなかったはずなのに。


中辻

たしかに、エンゲル係数は当時から高かったですね(笑)。

安田

シングルで子育てをしながら頑張ってお金を稼いでいる中でも、ちゃんと「美味しい食事」にお金を使える感覚が素晴らしいと感心したんです。


中辻

たぶん、今も昔も変わらず、食にはそれなりにお金を使っている方だと思いますね。

安田

やはりそうなんですね。でも経営者の方の中には「カロリーさえ取れれば、何食っても同じだ」みたいな人も結構いるじゃないですか。


中辻

まあ確かに(笑)。食に興味がない方って、わりといますよね。私にはちょっと理解できませんけど(笑)。

安田

反面、食道楽と呼ばれる経営者もやっぱり多い。私はね、「美味しい食べ物」の価値がちゃんと理解できることと、ビジネスっていうのは、繋がってくるんじゃないかなと思うわけですよ。


中辻

私の場合はシンプルに、美味しいモノを食べて、美味しいお酒を飲んで、楽しいお話をして。そういう時間を大切にしたいだけなんですけど(笑)。お仕事からプライベートに切り替える時間という意味も強いかもしれません。

安田

ああ、それは私も同感ですね。気分転換になりますから。ところで中辻さんはお友達を食事に誘ったりするタイプですか?


中辻

はい。「美味しいごはん屋さん知ってるから一緒に行こう〜」とよく連れて行きますね。美味しいものを食べて喜んでいる友達を見るのが好きなんです。こっちも嬉しくなっちゃう(笑)。

安田

なるほど。でも、中辻さんのいう「美味しいお店」って、こういったらなんですが、結構な高級店じゃないですか。誘われたほうもびっくりしません?


中辻

あ、安田さん。私、プライベートで誘ったら、当然そこは私が奢りますよ?(笑)

安田

え、そうなんですか?! なかなか男前ですね(笑)。


中辻

確かに私、結構男性っぽい思考かもしれませんね(笑)。でも、他人のお金で食べる美味しいものって、めちゃくちゃ美味しいじゃないですか。だから単純に、お友達に喜んでもらいたいという気持ちだけで奢ってます。

安田

へえ、すごいなあ。そもそも本当に美味しいお店を見つけるには、結構な投資をしなくちゃいけませんよね。お金も時間も。そうやって苦労して見つけた「高級店」に、人を連れて行って奢る。なんでそんなことができるんでしょうか?


中辻

それはやっぱり、過去に私にそうしてくださった方が多かったからだと思いますね。

安田

ああ、なるほど。会社員時代の上司とかですか?


中辻

上司はもちろん、仕事に関係のない人も。昔から年上の方にかわいがっていただくタイプだったんですよね。自分がされて嬉しかったことを、自分ができるときに、できる範囲の中で、周りの人にやっていた、という感じです。

安田

たとえばそれがお客さんだったら「ビジネスの投資」と考えることもできますけど、友達は純粋に喜んでもらうことが目的ですよね? そういうのはもったいない、無駄だ、って思っちゃわないもんですか?


中辻

えー?! そんなこと思う人、いるんですかね(笑)。

安田

意外と多いと思いますよ。だって自分が苦労して稼いだお金を、自分のためじゃなくて他人のために使うわけですし。


中辻

う〜ん、でもそれがまわりまわって自分の嬉しさに繋がるんじゃないでしょうかね。

安田

なるほど、そういうもんですか。


中辻

私、誰かにちょっとしたプレゼントをあげるのも好きなんですよ。会社の部下の子たちにもよく小さなプレゼントをあげるんです。喜んでくれている姿を見て、自分も嬉しい、みたいな。ただの自己満足なんですけど(笑)。

安田

いやいや、まさにそういう感覚が、経営者には必要なんでしょうね。損得感情だけで物事を考えると、人生も会社経営もうまくいかないというか。


中辻

ああ、それでいうと、私は基本的に「GIVEしたくなる性分」なのかもしれないです。よく会社に「チラシについて質問したい」って電話がくるんですけど、平気で30分近く相談に乗っちゃいますから(笑)。

安田

その電話の相手はお客さんじゃないんですよね?


中辻

ええ、違います。名前も知らない人(笑)。

安田

ほお、それはすごい。やっぱりGIVE好きなんでしょうねえ。


中辻

経営者としては、もっと考え直したほうがいいのかもしれないですけどね(笑)。

安田

いや、そんなことはないですよ。そういう人のもとに、人は集まってくるわけですから。中辻さんにはこれからもぜひ、「GIVE好き」のままでいていただきたいですね。


中辻

はい、わかりました(笑)。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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