第242回 週2正社員という裏技

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第242回「週2正社員という裏技」


安田

週2正社員についてお聞きしたいんですけど。いわゆるフル雇用ではない、業務委託でもない、中間の立ち位置ですよね。

久野

そうですね。まず正社員の定義を明確にしないといけないですけど。

安田

週2正社員でも社会保険に入れると聞いたんですが。

久野

社会保険に入りたいというニーズがそんなにあるんですかね?

安田

絶対ありますよ。正社員が副業や起業を考えるときに、不安なのは収入と社会保険なので。報酬がある程度維持できて社会保険にも加入できるって、すごく安心感があります。

久野

確かにそうですね。

安田

残り3日で独立の準備するなり、副業するなり、安心して色々できるじゃないですか。

久野

安田さんは、どういう職種を想定してますか?

安田

色々考えられますけどお勧めはトップ営業マン。固定のクライアントが付いていて、週2日でも同じくらい売上が上げられる人。会社にもすごくメリットがあります。

久野

確かに。辞められるよりずっといいですね。

安田

辞められたら売上が0になっちゃうかもしれない。引き継いでもお客さんは抜けていく。だけど引き止めるために給料を倍にはできない。

久野

売上も倍にしてくれないとできないですよね。

安田

そうなんです。だけど同じ売上を週2で上げてくれるなら60%ぐらいの給料を払ってもいいと思いませんか?

久野

ぜんぜん払いますよ。

安田

そして社会保険にも加入し続けられるとなれば、引き止められる可能性は高いです。

久野

給料を増やす代わりに休みを増やしてあげるわけですね。

安田

そうです。休みの日に独立の準備をしてもいいし、副業して稼ぐのもいいし。同業でなければいろんな営業をして稼ぐのもありです。

久野

それはありですね。

安田

それに業務委託では回せない仕事ってあるじゃないですか。

久野

ありますね。どうしても出社する必要がある仕事とか。指示、命令が必要な仕事とか。

安田

そうなんです。指示・命令しないと回らない仕事は業務委託では難しい。かといってフル雇用する必要のない仕事もあるじゃないですか。

久野

ありますね。フルタイムじゃなくていい仕事とか、特殊なスキルが必要な仕事とか。

安田

週2日の正社員契約って法的には可能なんですよね?

久野

正社員の定義をしっかりすることがポイントだと思います。たとえば売上責任や管理責任をどうするのか。まったく責任がないと週2のパートみたいになっちゃうので。

安田

そうですね。たとえば部署のマネジメントを任されていて、毎日来る必要はないけど週2回は来て、ちゃんと現場を見ながらマネジメントしてほしい、みたいなケース。

久野

まさにそういうケースですね。「なぜ週2日じゃなきゃいけないんだ」って経営者は思うでしょうけど。

安田

それはやっぱり人不足だからですよ。フル雇用だと確保できない優秀な人材を確保するために。

久野

はい。これからの時代はいろんな組織づくりを考えていかなきゃいけないです。人が足りなくなるのは確実なわけで。

安田

人件費も高くなっていきますし。完全に自社で囲い込んで、どんどん人件費を増やしていくのも無理があるじゃないですか。

久野

人件費は間違いなく上がり続けますから。能力をシェアしていく発想がすごく大事だと思います。

安田

法的には「週に何時間以上働くと社会保険に入らなきゃいけない」というルールがあるんですよね? 

久野

はい。週30時間ですね。大企業は週20時間。

安田

それを超えたら絶対に入らなきゃいけない。問題はそこに届かない人ですよね。働いている時間が短くても入りたければ入れるってことですよね。

久野

就業規則で正社員の定義を変更することによって入れるようになります。どちらかと言えば特殊な制度なので社労士でも知らない人が多いです。

安田

なるほど。就業規則にちゃんと書いておかないとダメってことですね。

久野

そうなんです。だから普通の中小企業は週30時間未満の人は社会保険に入れないんです。

安田

就業規則を作り直せばできると。

久野

そうです。「うちには短時間の正社員がいます」と明記しておけば認められます。

安田

制度を知らない社労士さんだとやってもらえないですよね。「週2正社員はどうですか?」って聞いても、社労士さんが「無理です」と言ってしまうケース。

久野

「正社員にはできるけど社会保険は入れない」って言うと思います。でも実は社会保険にも入れます。

安田

なるほど。では興味がある方はぜひ久野さんに連絡してみてください。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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