小さなブルーオーシャンに出会う旅 第30回「『住む』と『働く』をコンセプトとした小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

第30回「『住む』と『働く』をコンセプトとした小さなブルーオーシャン」


「ソーシャルアパートメント」ってご存知ですか?

都心では数年前から
空き家が問題になっています。

今後は、少子高齢化により、
日本では人口も減ることでしょう。

しかし、いまでも新しいマンションや
アパートメントが建設されています。

もはや、新しい住宅を建てても、
通用するのは都心のごく一部だけ。

「不動産としていい条件」を持つ物件が
大きな価値を持っています。

しかし、都心ではないところで、
SNSや口コミだけで、
定員の3倍もの応募があった物件があります。

ドットツリー修善寺

有名な温泉地、観光スポット
伊豆・修善寺にある小規模な賃貸物件です。

観光スポットとは言え、
有名な温泉地とは言え、
ここに応募が殺到したのはなぜでしょうか?

ドットツリー修善寺による公式サイトからの画像

さまざまな制約条件の中、
移住定住の促進を実現しようと生まれたのが
このドットツリー修善寺らしいのです。

小さなブルーオーシャンを生み出しているものは何なのか?

このドットツリー修善寺は
もともと生コン工場の跡地だそうで、
地元で創業50年の建設資材を取り扱う
株式会社古藤田商店さまがオーナーとなり、
地域で活動しているNPOサプライズさまが
プロジェクトデザインを担当。

700坪のスペースの活用方法を議論する中、
クローズアップしたのは地域の人口減少問題。

簡単に言えば、移住定住のネックは働く場。

その中で『住む』と『働く』をセットにした
『ソーシャルアパートメント』という
アイディアが浮上したそうです。

移住定住のネックは働く場所、
ならば都会では得られないビジネスネットワークと、
地方で暮らすメリットを得られる
“理想のワークライフバランス”を創り、
起業家や個人事業主に移住してもらう仕組みを創ろう

これがコンセプトとなります。

住宅と小規模オフィスがセットとなり12件を募集。

入居者を募集するポイントとして、
不特定多数の人に情報を発信するよりも
特定多数の感心あるユーザーへ
確実に知らせる事を重視したそうです。

結果として33件もの応募が寄せられたとのこと。

さらに入居は1業種につき1社と限定。
これは入居者同士がビジネス上で競合せず
互いに協力できる環境を整備することが目的であり、
”伊豆の総合商社”を目指して
さまざまなビジネスに挑戦していくとのこと。

賃貸住宅に対して、旧来からの”モノサシ”では
当然都心などに敵う余地がありません。

しかし、このドットツリー修善寺は、
新しいモノサシでその価値を提供しています。
コロナ渦でテレワークが増え、
オフィスを縮小、シェアオフィスも増えています
都心にあるシェアオフィスとは違い、
修善寺という住環境のポテンシャルもあります。
業界慣例や旧来の慣例に囚われない視点が、
小さなブルーオーシャンを生む結果になると思います。

 


佐藤洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。
中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

 

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