第109回「ここまで苦労して泊まりたいの?という小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「ここまで苦労して泊まりたいの?という小さなブルーオーシャン」


「ここまで苦労して泊まりたいの?という小さなブルーオーシャン」

「コロナが収束したら、何をしたいですか?」

と聞かれたら、なんと答えますか?

多くの方が「旅行」と答えるみたいです。
旅行には宿泊が付き物ですが、
ホテルや旅館などに、
何を求めるでしょうか?

窓からの景色?
豪華な食事?
広いお部屋?
素敵なサービス?

最近では、Wi-Fi環境を
気にする方もいるようですが…。

逆に、
これらが全く期待出来なければ、
泊まりたいと思いますか?

さらに言うと、
バスや電車、車、バイクでもいけない。
林道、登山道を
片道最低でも2時間、
長ければ4時間を歩かないと
到着しない。

わざわざ泊まりたいと思いますか?

一言で言えば「不便」
この不便な場所に、
この不便さを求めて、
多くの方訪れ、
皆さんがリピートしたくなると
言うのです。

場所は新潟県。
苗場山の五合目に位置する山小屋で、
露天風呂が人気の一軒宿「赤湯温泉山口館」


にいがた観光ナビからの画像

前述した通り、
「歩いてしか行けない温泉」であり、
電気が通っていないため、
客室の照明は昔ながらのランプ。
当然、携帯電話の電波も届かない秘湯。
営業はGW時期から11月初め。
雪深い場所にあり、冬季は休業してしまいます。
この一軒宿には、
登山の格好をした人たちが、
続々と訪れます。
皆さん、登山をしに来たわけではなく、
この「山口館」に来るためだけに
この格好なのです。

ある日は、60人もの人が来ていて、満室に。

現代はとても便利です。
それはそれで良いことですが、
とても疲れてしまいます。
(ストレスなんて、現代用語ですよね?)

デトックス…ではありませんが、
私たちは無自覚、無意識に、
「不便さ」を求めているのかもしれません。

「山口館」から帰って来ると、
「俗世間に戻ってきてしまった…」と
思うみたいです。

不便であることを弱みとするのではなく、
逆に強みと考えれば、
小さなブルーオーシャンになるでしょう。

ちなみに…
食事は、宿主が週一回、
80kgもの荷を背負ってくるんだそうで、
米どころ新潟の白米や山菜の天ぷらなど、
感動的な美味しさだそうです。

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赤湯温泉 山口館
URL http://akayunaebasan.sakura.ne.jp/index.html
所在地 新潟県南魚沼郡湯沢町 苗場山5合目
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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