第122回「世界一食べるのが難しい『うどん』の小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「世界一食べるのが難しい『うどん』の小さなブルーオーシャン」


香川県と言えば「うどん県」と
言われるほどうどんが有名ですね。
私もさぬきうどんは大好きです。

さて、このうどんが有名な香川県に
「営業時間10分間だけ」という
うどん屋さんがあるそうです。
さっそく調べてみました。

「営業時間10分間、不定期営業。だけど行列ができるうどん屋さん」

香川県琴平町。
“こんぴらさん”の愛称でも親しまれる
金刀比羅宮の南、坂本龍馬像がある
牛屋口の東にそのお店があります。

うどんの館 大庄屋

10分うどんと書かれた看板があり、
実際に営業しているは、
12:00〜12:10の10分間だけ。
しかも不定期営業。
ふらっと訪問して
食べられるお店ではありません。

このうどんを求めて県外からも
たくさんの人が訪れ、
事前に配布される整理券は、
10:30には終わってしまうと
いいますから驚きです。

もう世界一食べるのが難しいうどん
と言っても過言ではありません。


画像はイメージ 作者: nekoutsubo

なぜ10分間しか営業しないのでしょうか?

このお店を出している
うどんの館 大庄屋は
さぬきうどんの製麺と販売
をしている卸会社です。
そうなんです。
うどん屋さんと言っても、
一般のお客さまを相手にする
お店ではありません。

この10分間うどんは、
工場長である山下剛史氏が、
自社のうどんの味を
ひとりでも多くの方に
知ってもらいたい
という想いから、
山下氏の昼休み時間を利用して、
手打うどんを提供している
ということ。
だから準備や片付けなどで
営業できるのは10分間しか
ないそうです。
(昼休みを利用してと言っていますが、
つまりは自分の昼休み時間を
犠牲にしているわけですね)

さらに本業は卸業ですから、
製造スケジュールや
お中元、お歳暮など
工場が忙しいときは、
営業ができないために不定期。

にも関わらず、
多くの人たちがこの10分間のために
訪れてくるのです。

多くの人が来る理由は、
もちろんうどん自体が美味しい
ということもあるでしょう。
しかし、同地域にはたくさんの
うどん屋さんがあります。
10分間で食べられるかどうかわからない
お店より、確実の美味しいうどんが
食べられるお店の方が良いはずです。

ここの山下工場長の想いや
ストーリーがあるからこそ、
このうどんをどうしても食べたくなるのでは
ないでしょうか?

これはお店だけではなく、
人材採用や商品販売、サービス提供
にも必要な要素ではないでしょうか?

小さなブルーオーシャンは、
市場での優位性、商品の優位性だけではなく、
想いやストーリーも大事だと
いうことでしょうね。

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うどんの館 大庄屋
住所:香川県仲多度郡琴平町1223-9
営業時間:12:00〜12:10(10分のみ)
定休日:不定休
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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