この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第90回 大多数の日本人の年収を1000万円にする計画、発動?
第90回 大多数の日本人の年収を1000万円にする計画、発動?
前回の対談で、私の「人生が変わった」というお話をしましたが、実はそれで1つ大きな目標ができたんですよ。
ほう。どんな目標ですか?
日本人の平均年収を1000万円にする、というものです。
なんと! それは壮大な目標ですね。
というのも、今の日本って1人あたりの労働生産性はどんどん下がっていて、先進国の中でもほとんど最下位なんですよ。その一方、1000万円を超えている国も既に存在しているわけで。
でもそれは平均値ですよね? 一部の超お金持ちが稼いでいるから、平均が引っ張られて高く見えているような気もしますが…。
仰るとおりです。そこで私が目指すのが「中央値を1000万円にする」こと。つまり、日本人の一番多いボリュームゾーンの人の年収を1000万円にする、ということを決めたんです。
いやぁ…重ね重ね、すごい目標ですね(笑)。
これね、先祖に感謝していたことで自分の中に降りてきた目標なんです。それで今、非常にワクワクしているんですよ(笑)。私、来月60歳になるんですが、これからの人生は「日本人の年収の中央値を1000万円にする」ということに関連する仕事以外はやらないって決めましたから。
そこまで固い決意なんですね! 具体的にどうするかは、もう決めていらっしゃるんです?
従業員の年収を1000万円にしたいと考えている経営者さんのお手伝いとか、フリーランスの人が1000万円稼げるようにお手伝いするとか。とにかく「年収1000万円」を基準にして、それを実現するためのサポートをしていこうと考えています。
なるほどなぁ。ちなみになぜ「1000万円」なんですか?
1000万円が一番現実的な数字だと思っているからです。例えば時給1000円の人が時給100万円になるって考えるとほぼ不可能ですけど、時給3000円くらいだったらそんなに難しくないと思いません?
確かに工夫と努力次第でなんとかなりそうな気がしますね。
ですよね。というか実際、日本人の勤勉さとか基礎教育が行き届いているところを考えると、年収1000万円って当たり前に到達できる金額だと思うんです。それなのに今、平均年収がたったの400万円ですよ? これってきっと、日本人の能力が低いからじゃなくて、別の要因があるんだと思うんです。
ふーむ、なるほど。つまり日本人は本来もっと稼げるはずなんだ、と。
そうそう。しかも今の働き方のまま、勤務時間を2倍にして1000万円を稼ごうって言っているわけじゃなくて。むしろ今より勤務時間も短く、休みも多くなるのに給与は2倍になるような方法を見つけようよ、という話で。簡単ではないだろうけど、日本人の能力的にも決して無理じゃないよねっていう。
うん、確かに夢があっていいですね。実際ウチにも1000万円プレイヤーは2人いるので、「年収1000万円」が不可能ではないのはよくわかります。ただ従業員全員を年収1000万円にしようとすると、何の事業をやるべきかというところから考え直す必要があるかもしれない。
そうですね。給料を今の2倍、3倍にしようと思ったら、今やっている事業の延長線上では無理なのかもしれない。端的に言って、もっとめちゃくちゃ儲かって、かつ今より楽になる事業を始めなきゃいけないんですよ、経営者は。
うーむ、それはもちろんそうなんでしょうが、口でいうほど簡単ではないですよ。
むしろね、口で言うことが大事なんですよ。「どうせ無理だ」と諦めの言葉を言うんじゃなく、「やるんだ」と決めて公言してしまう。それ自体は別に高いハードルじゃないでしょう?
まあ確かに。やろうと言うのは無料ですしね(笑)。
そうそう(笑)。でもやろうと決めた人の半分くらいは、本当に実行できちゃう気がします。人間って面白いもんで、本気でやると決めたら「どうやったらできるか」って考えてどんどんアイディアを出せるんです。
あぁ、僕も覚えがあります。ウチの会社でご葬儀をする式場を作りたかったけど、お金がなかったし、銀行も貸してくれなかったんです。でも僕の師匠が「作る、と決断すれば、どうすればいいかは見えてくる」って言っていて。
ほう。で、どうなったんですか?
結局、知り合いの人が式場を作ってくれて、それをウチに貸してくれたんです。つまりお金がなくても式場は作れちゃったんですよ。
素晴らしい。想いが実現したってことですね! 「人生は思った通りに進む」ってよく言われますけど、やっぱりあれは正しいんでしょうね。
そうですね。だから安田さんの「日本人の年収1000万円計画」もきっと実現しますよ! ぜひ僕も一緒にやらせてください!
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。