第23回 雇用する場合に最低限必要な3つの役割

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第23回 雇用する場合に最低限必要な3つの役割

安田
私はワイキューブ時代に人を雇いすぎて疲れたので、もう雇うのは嫌だって思っているんですけど。とはいえ実際は「雇用」と「プロ人材」をミックスしないと、なかなか組織は作れないのかなっていう気もしていまして。

渡邉
確かに。社長だけいてあとは全員プロ人材、という環境だとちょっと疲れてしまうかもしれませんね。
安田
でも、ランリグさんは社員よりプロ人材の方が多いわけですよね。

渡邉

確かにそうなんですが、それなりに社員さんもいるので、僕以外が全員プロ人材というわけじゃないですよ。でも想像してみると、やっぱり自分以外全員プロ人材、というのは難しいですよね。プロって「役割」にコミットしている方が多いので、担当が曖昧な隙間仕事をやる人がどんどんいなくなりそうな……

安田
そうかもしれませんね。ただ最近は、社員でも言われた以上のことを自ら進んでやる人が減ってきているというか。社員もどんどん「ジョブ化」していっているように感じるんです。そうなってしまったら、むしろ「隙間仕事のプロ」に頼まないといけなくなるかも(笑)。

渡邉
笑。そんな隙間仕事を専門でやりたい人なんているんですかね? そもそも隙間仕事を見つけること自体、けっこう面倒くさいのに。
安田
それなら「隙間仕事を見つけるプロ」を雇えばいいじゃないですか(笑)。自分では解決できないんだけど、「ここが足りませんよ」と指摘するプロ。

渡邉
ああ、重箱の隅をつつくような(笑)。
安田
でも実際、社長ってそういう役割もあるじゃないですか。ともあれ渡邉さんが仰るとおり、そればかりやってると疲れてしまうので。

渡邉
ですねぇ。まぁ真面目な話、プロ人材とプロ人材との合間を取り持って調整する仕事、というのは確実に発生しますよね。私としては、そういった仕事こそ役員とか社員にお願いしたいと思います。
安田
つまり究極の事務とか庶務的な感じですよね。「課長が今これやってるけど、絶対ここでこういう問題が起きそうだからここは押さえておかないと」とか。

渡邉
そうそう。「あの人が辞めてここの役割は誰もできないだろうから私がやっておこうかな」とか。浅く広くいろんなことができる人ですね。そこは社員とか役員じゃないと成り立たない気がしますね。
安田
ということは、究極の庶務的な働きをプロ人材に発注するのは難しいと。
渡邉
そうですね。そういった臨機応変な対応をしてもらうには、価値観の共有がすごく重要になってくると思うんですよ。「たぶん社長はこうして欲しいんだろうな」と先読みするには、やっぱりある程度の時間を一緒に過ごす必要があって。
安田
なるほど。でもそういう臨機応変な対応ができる人って、なぜか組織の中では冷遇されがちなんですよね。

渡邉
いわゆる「便利な何でも屋さん」になっちゃうパターンですよね。そこを会社としてどう評価するかが大事だと思います。例えばそういう役割を「インナーマネージャー」として給料も高めに設定している会社もあるんですよ。
安田

へぇ。高めと言うとどのくらいなんですか?


渡邉
時短で勤務している方で年収700万円くらいですね。きちんと「マネージャー」という役職にしていて。
安田

なるほど、確かにそのくらいの水準にしないと難しいですよね。実際そういう動きができる人って、今募集してもなかなか採れないですから。


渡邉
いやぁ、それは採れないですよね。
安田

そういう意味では、1社でそういう人を採るより2社3社でシェアするといいんじゃないですかね。3社合わせて1000万円とか1200万円くらいの収入があれば、お互いにハッピーな気がするんですけど。

渡邉
うーん、でもそういう人は性格的にあまり浮気性じゃない人が多いというか。そこまで器用じゃない気がするので、集中力が分散しちゃうかもしれませんよね。
安田
ああ、「社長や会社が大好き」みたいな人が多いですよね。そうすると、そのタイプはやっぱり社員しかないんですかね。

渡邉
僕としてはそう思いますね。その人の性格という話だけじゃなく、「会社のリスクヘッジとして一定数の社員は確保しておかなきゃいけない」のもあって。その場合に、じゃあどういう業務を社員に任せるのがいいかと考えると、やっぱりそういう隙間仕事がいいと思うんです。
安田
なるほどねぇ。確かに社長以外全員プロ人材って、ある意味すごいリスクですもんね。

渡邉
ええ。いつ契約を切られてしまうかわかりませんからね。だからある意味、プロ人材がいつ辞めてもいいように仕組みを作っておかないと。
安田
ちなみに、できる限りプロ人材で固めて、社長以外に3人だけ社員を雇うとしたらどうでしょう。1人は今話していた「スーパー庶務」みたいな人ですよね。あと2人はどういう人が欲しいですか?

渡邉
お金の部分は正社員じゃないと厳しいですね。
安田
なるほど。キャッシュカードや会社の印鑑を預けてもいい人ってことですか。じゃあ、「スーパー庶務」と「社判を預けられるぐらいの経理」と、もう1人は?

渡邉
う〜ん、僕と全く違うタイプの役員ですかね。僕が営業畑であれば、中が見れる「守りのタイプ」の人というか。
安田

じゃあ逆に言うと、その3人以外は全部プロ人材でもいいんじゃないかって感じですか?

渡邉
規模感にもよりますよね。会社全体が30人ぐらいだったら3人でいいかもしれませんけど、50人60人になって3人でできるかというとなかなか難しいかもしれないですね。
安田

経理もその人の下に付く人材が必要だったり、庶務も1人じゃ回らなくなったりしますからね。

渡邉
ええ。だから「役割×規模感」じゃないですかね。役割が3つあるとしたら、規模感に比例して社員も増えていくような掛け算になると思います。
安田
なるほど。ということは「庶務的な部署」と「経理的な部署」と「役員的なポジション」は、やっぱり正社員の方がいいと。それでいくと普通の会社でメインになっている「商品開発」や「納品」や「営業」は外部のプロ人材で行けちゃうっていうことですよね。
渡邉

全部は難しいと思うんですけど、例えば初回の営業だけ、とかだったらいけるでしょうね。特に建築業界だと営業の最後に「お客さんと一生やっていきます!」という心意気のような部分が重要だったりするので。

安田
なるほど。最低限雇用が必要な3つの役割以外は、業界ごとに上手にプロ人材を使っていくのがよさそうですね。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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