第27回 移民を受け入れた日本の明るい未来

この対談について

国を動かす役人、官僚とは実際のところどんな人たちなのか。どんな仕事をし、どんなやりがいを、どんな辛さを感じるのか。そして、そんな特別な立場を捨て連続起業家となった理由とは?実は長年の安田佳生ファンだったという酒井秀夫さんの頭の中を探ります。

第27回 移民を受け入れた日本の明るい未来

安田
日本は移民に厳しい国だと言うじゃないですか。でもテレビを見たら、昔とは比べ物にならないぐらいハーフタレントも多いし、近所の小学校や中学校でも当たり前に外国出身の子がいて。それを考えると、既に移民は増えてるんじゃないかっていう気がするんですけど。

酒井
そうですね。増えてると思います。
安田
ということは、役人さんたちは既に「移民を増やそう」という方向で政策を進めているわけですか? 国民の賛成反対に関わらず。

酒井
それはそうだと思いますね。
安田
やっぱり。とはいえ一方で、移民を受け入れずに成り立たせることも可能だとは思うんです。

酒井
ええ。以前のお話でも出たように、日本の人口が3000万人程度まで減っていけば可能でしょうね。
安田

だけど現実として、既に移民はたくさん入ってきていると。


酒井

そういうことです。ちなみになぜ増えているかというと、まず産業界が安い労働力を必要としたからですよね。

安田

ああ、やっぱりそうなんですか。


酒井
ただ、これが日本の役人の優秀かつ駄目なところでもあるんですけど、バレないように少しずつ変えるわけです。大きな政策転換をすると反対意見が出たりして大変なので。で、中でも移民政策に関するもので悪名高いのが、今問題になっている「技能実習生」です。
安田
ははぁ、なるほど。

酒井
おおざっぱにいうと、日本の法律上、外国人に単純労働はさせちゃいけないことになっています。だから本来コンビニで外国人は働いちゃいけないんですよ。でも最近は日本人がコンビニで働いてる率の方が低いじゃないですか。
安田
ほとんどいませんよね。日本人を見ると逆にびっくりするぐらい(笑)。

酒井
本当、そんな感じですよね(笑)。でもそれを法務省とか厚労省とかに指摘すると、「そういう人は働いてないです」という答弁をいけしゃあしゃあとするわけです。
安田
え? でも実際は働いてますよね。それを把握してないってことですか?

酒井
実際そのあたりの統計は弱いとは思いますが、彼らが主張の根拠にしているのは「留学生の特例」なんですよね。つまり、コンビニで働いているのは留学生で、留学生は労働ビザじゃないので本当はバイトをしてはいけないんだけど、「学業に支障が出ない範囲なら働いてもいい」っていう特例があると。だからOKだろうっていう理屈です。
安田
ふ〜む、じゃあ一応ルールには則っているわけですね。

酒井
彼らはそう主張するわけですが、でも現実的に、学業じゃなくアルバイトを主務にしている人はいっぱいいますよね。学校なんて全然行かず、バイトばかりしているような。
安田

そうですよねぇ。そういう意味ではやっぱり「黙認してる」って感じですよね。ちょっと話は変わりますけど、日本人って外国人が日本国籍を取得したり、日本の土地を買ったりすることに妙に神経を尖らせませんか?


酒井
確かに。でも個人的には、法律的にそれらが合法だってことに若干の問題を感じますけどね。日本人が神経を尖らせようが、法律に則った形で外人さんが日本の土地を買うことは可能ですから。
安田
酒井さんとしては、それはよくないことなんですか?

酒井
よくないことというか、自国民の中にそれを嫌がる人が大勢いるのに、それは加味しなくていいんだっけということですよね。
安田
とはいえ、日本って外圧がないと変わらない、とずっと昔から言われてますよね。そういう意味では、外国人がもっと日本で働いたり、土地を買いまくったりしないと変わらないんじゃないかとも思っていて。

酒井
それは一理ありますよね。
安田

日本人だったら遠慮して言えないことでも、彼らはガツンと言うじゃないですか。そういう方が投票権を持ったり、あるいは彼ら自身が政治家や官僚になっていったら何か変わっていきそうな気もするんですけど、どうですか。


酒井

個人的には、既にその種は出てきている気がします。ラグビーのワールドカップで、リーチ・マイケルのように日本に帰化した人たちを皆が日本人だって応援してるのを見て、多様性が1歩進んだ気がしました。

安田

確かに昔だったら「いやお前日本人じゃないだろう」ぐらい言いそうですもんね。それが今だと皆が普通に応援しますもんね。


酒井

今活躍しているラグビー選手が高校生ぐらいのとき、「お前は日本人じゃない」と言われたという記事を最近見たんです。でも、今の子供たちの世界だと、冒頭安田さんが話されたようにクラスにそういう子が当たり前にいるんですよね。そういう意味でも私たちの時代とは感覚が違ってきているはずで。

安田
さらに言えば、今後は帰化した方のお子さんとかお孫さんとかがどんどん増えていくわけじゃないすか。日本人は子供を産む人が減る一方だし、日本国籍を得た方がたくさん子供を産んでいけば、比率がどこかで逆転する可能性すらありますよね。

酒井
その試算は十分あり得ると思いますね。
安田

そうですよね。人口が5000万人ぐらいになったとき、そのうち2000万人は元外国籍でした、というような状況になってきたら、日本の未来は明るくなる気がするなぁ。


酒井
どうなんですかね。どちらかというとそれを暗いことだと捉える人の方が多い気がしますけど。
安田
まぁ、テレビでは「不良外人が夜中に騒いでいる」みたいなニュースばかり取り上げてますからね。実際は良い変化もたくさん起きているはずなのに。日本人が大事にしなくなった職人文化を、外国から来られた方がが引き継いでくれたりもするじゃないですか。
酒井

そうですね。宗教観を含め、日本の文化やコミュニティに馴染めるかどうかがポイントなんだと思います。日本のコンビニで働いている分にはいいけど、例えばアラブのものしか売らない店をあちこちで始めて、そこに外人さんがたむろしてると「怖い」と感じる日本人も増えるでしょう。

安田

千葉の松戸などが典型ですが、外人さんが多いインターナショナルな都市も増えてくるかもしれませんね。海外にもリトルトーキョーみたいなのがありますし。

酒井

西葛西のインド人街とか、そういう場所はあちこちにありますよね。

安田
そう考えると、冒頭の「官僚は移民を増やす方向性で考えている」というのも、本当なんだなと感じますね。
酒井

国を運営する上で「労働力の確保」は重要なので。今の制度の全体を壊さないように、人権にも配慮しつつ、うまく取り入れる方法を模索している。そんな感じでしょうね。


対談している二人

酒井 秀夫(さかい ひでお)
元官僚/連続起業家

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経済産業省→ベイン→ITコンサル会社→独立。現在、 株式会社エイチエスパートナーズライズエイト株式会社株式会社FANDEAL(ファンディアル)など複数の会社の代表をしています。地域、ベンチャー、産官学連携、新事業創出等いろいろと楽しそうな話を見つけて絡んでおります。現在の関心はWEB3の概念を使って、地域課題、社会課題解決に取り組むこと。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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