第31回 採用力・定着率を上げるための「リモートワーク」

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第31回 採用力・定着率を上げるための「リモートワーク」

安田
コロナ禍が明けて、リモートワークからオフィス勤務にだいぶ戻りましたね。今もリモートを継続しているところもありますけど、「会社に出社してもらわないとマネジメントができない」という声が圧倒的に多いんですよね。

渡邉
特に中小企業には、リモートワークは馴染まない気がします。
安田

でも仕事を選ぶ側としては、「リモートワークができるか」ってけっこう大きいと思うんですよ。フルリモートとはいかなくても、週2日くらいはリモートでやりたいとか。


渡邉

確かに「リモート環境で働きたい」という人は確実に増えてますよね。採用する側の目線で言えば、成果物を提供する仕事ならリモートで問題ないと思います。ただ正社員となると、どうしてもオペレーション的な業務が多くなるので。

安田
正社員は法律的に「(成果ではなく)労働時間に対して給料を払わないといけない」という決まりがありますからね。リモートワークだとしても、どんな成果を上げたかではなく「何時から何時までパソコンに向かったか」で給料を払わなきゃいけない。

渡邉

リモートだと見えない部分が多すぎるんですよ。例えば同じ事務職でも、仕事の早い人もいれば遅い人もいますよね。

安田
いますよね。だけど勤務時間で報酬が決まるから、残業ばかりしてる仕事の遅い人の方がなぜか収入が多くなってしまう。

渡邉

まさにそうなんです。でもリアル勤務なら、ある程度それぞれの状況が把握できるから、正しい評価は行える。でもリモートでは厳しいですよ。

安田
そういう意味で言えば、8時間の仕事に10時間かかる人は出社してもらうしかないんでしょうね。一方で、8時間の仕事を4時間で終えられる優秀な人からすると、出社する意味は感じづらい。フルリモートOKな別の会社に行ってしまう気がします。

渡邉
個人的には、そういう優秀な人はどんどんフリーになってもらいたいですね。それで外部パートナーとして手伝ってもらえばいいんですから。
安田
それは私も賛成です。とは言え、数としてはまだ「正社員として働きたい人」が大多数だと思うんですよ。結果、彼らはフリーにならず「リモートOKな会社」に転職していってしまう。結論、優秀な人をつなぎとめるには「リモートOK」にしないといけないということになる。

渡邉
確かにそうですね。リモートを昇給とかと同じように、ある種の「権利」にしたらいいんじゃないですかね。何かしらのラインを達成したらリモートOK、というような。
安田
なるほど。「ご褒美」としてリモートワークというわけですね。すごくいいと思います。
渡邉

ですよね。そういう制度を取り入れれば、結果的に社員全体の定着率も上がる気がします。

安田
ちなみに渡邉さんの周りだと、リモートワークはどのくらいの会社が取り入れていますか?

渡邉
僕の周りは建設業界の会社さんが多いんですが、現場仕事が多い業界なので、基本的にはほとんど導入していませんね。ただ、たとえば営業などの職種限定で取り入れている会社はあります。……まあ、個人的には営業もリアルでマネジメントしないと、売上は上がっていかないと思ってますけどね。
安田

なるほど。人は結局、リアルなプレッシャーがないと真面目に働かないと(笑)。


渡邉
そう思います(笑)。僕もサラリーマン時代の1年目は、朝から晩までアポ取りをやりました。でも、同じことをリモートでやれって言われてもできないですもん。
安田

1本電話をかけたら、次にかけるまでにタバコ3本分くらいの休憩を挟みそう(笑)。


渡邉
まあ、否定はしませんけど(笑)。マネジメントする側からしたら、出社していた方が管理しやすいのは間違いないですよね。
安田

ええ。一方でマネジメントされる側にとっては、リモートの方が雑談や不要な打ち合わせに時間を取られることもない。そういう意味で、ストレスはかなり軽減されるでしょう。

渡邉
そもそもリモートだったら、家と会社の距離が関係なくなりますからね。出勤しなくていいのだから、たとえば田舎に住みながら都内の仕事もできてしまう。
安田

エリアの制限がなくなれば、採用の幅も広がりますね。


渡邉
そうですね。僕もいつか、全国の環境のいいところにリモート拠点をたくさん作って、自由にどこでも働けるようなことをやりたいなと思ってるんです。
安田
いいですねぇ。今はどの業界も人手不足なので、大手や中堅企業はこれからある程度リモートを増やしていくと思うんですよね。

渡邉
確かに。ストレスが減らせて生産効率が高まるし、さらには定着率も上がるわけですからね。リモートワークが全くできないとなると、採用力に差が出てしまうかもしれない。
安田
ええ。とはいえ直接人と会って意見交換することで出てくるアイデアのように、リアルな場でこそ生まれるものもありますから。完全にリモートワークに切り替えるというよりは、バランスが大事なんでしょうね。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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