ゲームと現実の境目

ビジネスは人間が編み出した最高のゲームである。
と私は考えている。
仕事と遊びの境目が曖昧になったと言われて久しいが、
多くの人はそのような考えにはまだまだ抵抗がある。

とくに日本人は「お金で遊んではいけない」
「仕事と遊びを混同してはいけない」と
お金や仕事を神聖視する傾向が強い。

「好きなことでは稼げない」と考える人が多いのも
「遊びでお金がもらえたら苦労しない」という
感覚があるからだろう。
だが冷静に考えればこの理論が
破綻していることは理解できるはずだ。

たとえばお笑い芸や野球は仕事ではないのか。
それで生計を立てていれば立派な仕事である。
だがサラリーマンが趣味で漫才や野球を
やっても仕事とはみなされない。

では「稼げれば仕事・稼げなければ遊び」という
理屈はどうか。じつはそれも破綻している。
その理屈だと赤字会社や赤字社員は
仕事をしていないことになるからだ。

「給料が安い人=あまり仕事をしていない人」という
定義には納得いかない人が多いだろう。
つまり稼ぎは仕事の必要条件ではないのである。
稼げるから仕事なのではなく、
稼いでしまえば仕事とみなされるというのが正しい。

ユーチューバーもゲーマーも
稼いでしまえば仕事となるのだ。
仕事だと見なさない人が多いのは
単に仕事としての歴史が浅いからである。

ビジネスとは詰まるところ「お金儲けゲーム」なのだ。
参加者がリアルだと信じることによって
成り立っているゲーム。そして信じれば
信じるほど苦しくなっていくゲームなのである。

じつはゲームでお金を稼ぐスキルと
現実でお金を稼ぐスキルに変わりはない。
だが現実でお金を稼げる人は多くない。
それはリアルを信じすぎているからである。

ゲームなら死んでもやり直せるが
リアルではそうはいかない。
そう考えている人がリアルに飲み込まれてしまう。

冷静に現実を見てみよう。
現代社会では人はそう簡単には死なない。
失敗しても何度でもやり直せる。
つまりルールはゲームと同じなのだ。

ゲームで貯金ばかりしている人や、
最初の街から一歩も出ない人はいない。
敗者になることが確実だからである。

武器や防具を買い、薬草などに投資をして
冒険に出かける。
失敗してもまたやり直せばいい。
諦めなければ誰でもクリアできる。
それがゲームだ。

現実も同じである。
リアルだと信じる人ほど
行動が制限されて苦しくなる。
ゲームだと信じる人ほど上手くいく。
それがビジネスというゲーム。

 

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1件のコメントがあります

  1. 人により異なるが、適切なリスクとリターンを取る訓練を、特に日本の公的教育ではしてこなかったので、ゲームを楽しめないし戦えない。また、先生(教師)も適切なリターンとリスクを体験していないし、教えられない。あまりにも昭和モデルが成功しすぎて、日本人が脱却できないのであるが、少しずつ脱却もしている。そう感じています。

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