習慣へのアプローチ

現代人には余暇がない。
ここに異を唱える人はいないだろう。
ではその事実に経営者はどう向き合えばいいのか。

会社にとっての売上とは顧客にとっての支出である。
どうやったら顧客の支出を
自社商品に向けさせることができるのか。
当然のことながら経営者はここを真剣に考えている。

そしてその過程で多くの経営者は間違えてしまう。
即ち支出をお金から考えてしまうのである。
この商品にはいくらぐらいの支出が妥当か。
いくらだったら顧客は買ってくれるのか。

思考のスタート地点が
商品と価格とのバランスなのである。
だがここからスタートして売れるのは
既存マーケットに位置する商品だけだ。

つまり価格競争に勝ち残った商品。
それは大量に売らねば儲からない商品である。

小さな会社が利益を増やすには
価格競争を避ける必要がある。
そのためにはまだないニーズを発掘するしかない。
競合がいなければ価格競争は起こらないからだ。

問題はまだないニーズをどこで掘り起こすかである。
まだないニーズを掘り起こし、
新たな商品(価値)を売るためには、
今あるニーズにアプローチするしかない。
なぜならば現代人には余暇がないからである。

新たな商品やサービスを買うには
確かにお金が必要である。
だがその前に必要なものがある。
それは時間だ。

マンガを買う金がないのか、
それとも読む時間がないのか。
現代人は圧倒的に後者なのである。

新たなマンガを買わせたいのなら、
他のマンガを読んでいる時間、
あるいはマンガを読んでいない時間を奪うしかない。

「こっちのマンガの方が面白いよ」というメッセージ。
そのメッセージはどこにおけばいいのか。
他のマンガから時間を奪うなら
置くべき場所はKindleコーナーなどである。
だがここがレッドオーシャンであることは
考えなくても分かる。

ではマンガではなく新しいスキルアップ手法として
売ったらどうなるか。
スキルアップ市場にも多くの商品が並んでいるが、
マンガ市場よりは目立つ確率が高い。
重要なのはマーケットの選択である。
言い換えるなら習慣の選択。

現代人に余暇がないということは、
必ず何らかの習慣の中にいるということ。
つまり今ある市場のどこかを現代人は
彷徨い続けているのである。

新商品を売るには今ある習慣に入り込むしかない。
どの習慣に自社の新商品を並べるのか。
どのように配置すれば興味を持ってもらえるのか。
ここを徹底的に考える。

 

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