変と不変の取説 第16回「大国のノスタルジー」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第16回 「大国のノスタルジー」

前回第15回は「緩やかな洗脳、快適な植民地」

安田

トランプさんが大統領になって、いま「アメリカファースト」って盛んに言わてますよね?

はい。トランプさんは完全にそういう方針ですね。

安田

イギリスの時代が終わって、アメリカに覇権が移って、世界のリーダーみたいな役割を担ってきましたけど。

今は相対的に力も弱くなり、「アメリカはもう自分のことだけ考える」みたいになってます。

安田

今後はどうなると思いますか?やっぱ世界の警察では、なくなっていくんですか?

アメリカ国民がトランプを選んでるわけですから、「他の国のことなんて構ってられないよ」っていうのがたぶん国民の総意なんでしょうね。

安田

じゃあ「他国のことはもう知らん」と。

アメリカ人って元々、他の国に興味がない国民ですから。

安田

え!そうなんですか?

そうですよ。他国のことをほとんど知らないというか。アメリカがすべてだと思っているので。

安田

たしかに。野球もアメリカでの頂上決戦を「ワールドシリーズ」と言ってますもんね。

自分の国に、世界中の民族とそのエリートたちが集まって来ますから。

安田

ということは、アメリカ人にとっての「世界」っていうのは、アメリカ?

そう思います。

安田

でも民主主義とか、資本主義とかを、世界に広げようとしてるんじゃないんですか?

もう、だいぶ広がったんで、いいんじゃないですか。

安田

共産主義の大国は、まだ残ってますけど。

今はもう、共産主義と戦ってるわけじゃないんですよ。そういう意味ではもう、敵がいない。

安田

中国とかロシアって、もうアメリカの敵じゃないんですか?

もう違うでしょうね。

安田

でも経済戦争とか言われてますけど。

経済的には戦ってますね。だからそれに勝たなくちゃいけない。

安田

じゃあ、敵国というより、商売敵って感じですか?

少なくともトランプさんは、そういう感覚でしょうね。

安田

じゃあ中国はもう、共産国ではない?

あれは「一党独裁社会主義自由経済国家」みたいな感じじゃないですか。

安田

じゃあ、共産党が支配している「資本主義国」ってことですか?

資本主義と言えるかどうかは、分かりませんけど。

安田

じゃあ何ですか?

でも市場があって、株もあるので、やっぱ資本主義になるんでしょうね。

安田

ロシアはどうですか?民主主義ですか?一応、選挙で大統領を決めてますけど。

市場は解放されてますけど、民主主義とは言えないですね。

安田

どうしてですか?

反体制行為が許されないからです。

安田

共産党はもうないんですよね?

まだ党はあります。政権与党ではありませんが。

安田

今はどこが与党なんですか?

統一ロシアという政党ですが、実質はプーチンの政党みたいなものでしょうね。

安田

でも、それ以外の党もあるわけですよね?

ありますけど、だいたい弾圧されますね。反体制派のいちばん求心的な人はクレムリンの前で殺されました。

安田

何と!じゃあ、中国が「一党独裁」だとしたら、ロシアは「1人独裁」って感じですか?

プーチンを中心に国をつくってる感じですね。

安田

圧倒的な1人独裁なんですか?

今のところ、そうですね。

安田

今後どうなんですかね。中国・ロシア・アメリカで、第三次世界大戦のようなことは起こるんですか?

大国同士が戦争したらぜんぶ滅びますよ。

安田

本気でやったら終わりますよね?

基本的に戦争って、みんな本気でやるので。

安田

じゃあ、戦争はしない?

代理戦争はしますね。「アフガニスタンで代理的に戦争しましょう」みたいな。

安田

迷惑な話ですね。

武器を使わないといけませんので。

安田

使わないといけない?

武器を消費しないと、経済が回らないので。アメリカは武器商人じゃないですか。

安田

ということは、すべての紛争がなくなることを、アメリカは望んでないってことですか?

国民は望んでると思いますよ。でも武器商人は望んでないですよね。だから、そういう緊張感はずっと持っていてほしいわけですよ。

安田

緊張感を持っていてほしい?

「どこかで戦争が起きるんじゃないか」「いつか誰かが攻めて来るんじゃないか」って思うから、みんなどんどん武器を買うわけじゃないですか。

安田

じゃあ、わざと緊張感をつくり出してるんですか?

なくしたくはないでしょうね。緊張感があったほうが、武器が売れますから。

安田

確かに、それがなくなったら、日本も買いませんもんね。

そうです。買わないですよ。

安田

米軍に駐留してもらう必要も、なくなりますよね。

そうです。莫大な資金ですから。

安田

アメリカの武器商人って、そんなに力があるんですか?

ライフル協会とかもそうじゃないですか。軍事産業もめちゃくちゃ儲かってますから、すごい影響力を持ってるんですよ。

安田

なるほど。

それに軍需産業がなくなると、アメリカの経済も冷えるわけですよ。だから、常に「新しい戦車できましたよ。戦闘機もできましたよ。買いませんか」って。

安田

それは基本的に、友好国にしか売らないんですか?

基本そうですね。

安田

でも、友好国とか言っても、本当は信じてないかもしれませんね。

100%信じるってことは、あり得ないでしょうね。

安田

じゃあ、型落ちの武器とか買わされてるかもしれませんね。ワシントンでボタン押したら一斉に武器が使えなくなるとか。

そういうソフトを、入れてるかもしれないですね(笑)

安田

アメリカから買った武器でアメリカと戦争しても、絶対に勝てないでしょうね。

まあアメリカと戦争することは、あり得ないでしょうけど。

安田

どうして言い切れるんですか?

もう既に、占領状態みたいなもんじゃないですか。

安田

確かに。普通に住民が暮らしてるところに、原爆落とされてますからね。

安倍さんもトランプさんから、だいぶ買わされましたからね。

安田

トランプさんは、今後アメリカをどうしたいんですかね?

アメリカが本来持っていた強さを取り戻したいんでしょう。

安田

そういう意味でいくと、ロシアのプーチンさんも同じですね。

ロシアもそうですね。ソ連時代の「アメリカと世界を二分していた」頃の強さを取り戻したい。

安田

習近平さんもそうですよね。一帯一路構想とか。中華の世界覇権みたいなのを狙ってる気がします。

狙ってるでしょうね。

安田

大国っていうのは、みんな「昔の強かった時代」に憧れてるんですか?

「あの頃の自分たち」の威厳とか、プライドとか、誇りとか。ノスタルジーですね。

安田

それが大国の野望ですか?

そうだと思いますね。

安田

じゃあ、それ以外の国って、どうなるんですか?日本を含め。

みんな属国みたいな感じになるでしょうね。

安田

いずれかの大国の属国になるってことですか?

「三国志」の時代と一緒ですよ。「ここに所属してます」みたいな。

安田

じゃあ、日本はやっぱアメリカ側ですよね。

そりゃそうでしょうね。いまのところ選択権がないですから。

安田

でも位置的には、かなり不利ですね。

大国同士がぶつかる最前線にいますからね。

安田

ロシアとは千島で繋がってますし。

そうですね。

安田

中国もすぐ目の前ですし。

距離的にはいちばんやばいところですよ。

安田

じゃあ日本で、代理戦争が起こる可能性もあるんですか?

あるとしたら、武器じゃなくてコンピュータレベルの、代理戦争ですね。

安田

コンピュータ?

サイバー戦争。そのほうが簡単だし、人も死なない。

安田

それはどういう戦争なんですか?

コンピュータ制御を狂わせて、金融も株式市場もぜんぶ止めて、経済を麻痺させる。

安田

でも、そんなことになったら、輸送もできないし、薬も運べないし、結果的には人が死にますよね。

相手国の人は死にます。でも自国の人間は死なない。

安田

ゲームじゃないんですから。

いや、彼らにとっては、ゲームなんですよ。

…次回へ続く…


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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