泉一也の『日本人の取扱説明書』第36回「祭りの国」

共にすごす仲間との間には、喜びがあり感謝があり、悲しみがあり苦しさがある。その陰陽の感情を開放し、浄化する。現代ではそれが最も必要なのは、会社組織である。しかし、会社組織にはこういった祭りの場があまりにもなくなってきていて、見えないところで静かに狂気へと変質している。その狂気がコントロールできなくなった時、組織は崩壊を始める。だが、この狂気を察知し場作りできるリーダーが不在なのだ。

なぜかというと、この能力は企業の人事評価にないからである。さらに子供の頃から祭りの本質を学習する場も機会も少なくなった。祭りがたくさんあってもただの参加者であり、企画運営側でないのだ。このまま進むと、明治維新後に神道を国家宗教にするため廃仏毀釈し、仏教の祭りが激減したことで、日本中が狂気に支配されたのと同じ道を歩むかもしれない。

「祭りの場づくりをする」これが企業の経営者たちが今こそはじめるお役目である。まずは経団連のトップが法被を着て、狂言でも盆踊りでもいいので踊りながら登場し、「まつり」をさぶちゃんと熱唱してもらうぐらいがスタートにちょうどいいだろう。

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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