今週は!
私事になりますが、ここ数年、企業のインナーブランディングにかかわる機会が増えています。インナーブランディングの定義は、いろいろあるようですが、自社の経営理念というものを社内に浸透させ、組織の一体感を高める活動というふうに私は理解しています。
インナーブランディングの活動内容としては、ビジョン・ミッション・バリュー・行動指針を言語化(←私が担当するのはココ)し、それぞれの背景や込められた意味を映像化したり、ポスターにして社内に張ったりするのが一般的ですが、私の経験からも大体の場合、長続きしません。なかには結構なお金をかけて外部のブランドコンサルタント会社に依頼し、かたち上だけ活動を行うケースもあります。
では、どうすればインナーブランディングを“実のある”活動にできるのか。私には、前提として感じている持論があります。それは、
「社内にいる山岡鉄舟を探せ!」ということです。
山岡鉄舟ってだれ?という方のために、人物を簡単に説明します。山岡さん、こんな人です。
通称、鉄太郎。剣、禅、書に通じた、幕末・維新の英傑。旗本・小野家の五男として、天保七年(1836)生。槍術の師、山岡静山の家を継いだ青年時代は、尊王攘夷党を組織し、倒幕運動にかかわる。戊辰戦争の際には、将軍・慶喜の意を受け、江戸に迫る官軍陣地を単身突破し、西郷隆盛と直談判。西郷をして「命も、名も、金もいらぬ、まことに始末に困る人」と感嘆せしめた。いわば江戸無血開城への道を拓いた大人物であるが、明治政府の勲功調査では、自らの偉業を主張することはなかった。維新後は明治天皇の侍従職などを務め、明治二十一(1888)没。勝海舟、高橋泥舟と並び幕末の三舟と呼ばれる。墓は、東京谷中の全生庵。
この山岡鉄舟さんを、組織のなかでたとえるなら「肩書も、出世も、高収入もいらぬ。おいらはただこの会社が好きで、もっといい会社にしたいんでぇ。ちくしょうめ」というような思いを持った人という感じでしょうか。
インナーブランディングを本気でやりたいなら、何はさておき、社内にいる「山岡鉄舟さん」を見つけること。そこに尽きると思うのです。そして、ふさわしい人物が見つかったら、立場や年齢に関係なく、トップ自らプロジェクトリーダーに任命し、できれば「終身職」にしてしまうのが良いと思うのです。
ブランド力があると言われる企業には、例外なくこうした「会社に埋もれる人」がいるものですし、大切にされてもいますよね。