人を見る目

人を見る目 

選挙が始まると、
候補者達によって様々な公約が掲げられる。
有権者たるもの、その公約をきちんと見極め、
一票を投じなければならない。
と、言うのは簡単ではあるが、
これを実行するのは相当にハードルが高い。

全ての公約を隅から隅まで読むには相当な時間がかかるし、
読んだだけではその公約の善し悪しを判断することは出来ない。
まず、公約が作り出された背景を知らなくてはならない。
どんなことが問題になっていて、
今までにどういう対策が打たれてきたのか。
その対策はどの程度効果があったのか。
効果がなかった場合、何が問題だったのか。

一つひとつの公約に関して、
いちいちそんなことを調べていたら、
とてもではないが時間が足りない。
また、たとえ良い公約であったとしても、
実現出来るかどうかは別の問題である。
予算は限られているし、
既存勢力との駆け引きもあるし、
目指すべき方向性も定かではない。

そもそも政治家は、公約を実現する気などあるのだろうか。
いや、その前に、公約内容を理解させる気があるのだろうか。
公約には、マニュフェスト、アジェンダ、という
小難しい名前をつけ、読む気が起こらないようにしている。
名前だけでなく、その書き方、文字の大きさ、配布の仕方など、
どれを取っても国民に読ませる意志を感じない。

きちんと公約は掲げているけれども、
その細かいところは理解してくれなくてもいい。
都合の良い部分だけ演説で話をするので、
そちらで判断して一票を投じてくれたまえ。
まあ、要約するとそういうことなのだろう。

公約を掲げる目的は理解させることではなく、選挙に勝つこと。
そして勝った後の政策に、
国民の同意という免罪符を取り付けることである・・・

 

『[安田佳生メールマガジン] 2016.7.20 人を見る目 』より冒頭引用

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