第20回 「経営」を外部のプロ人材に任せる時代

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第20回 「経営」を外部のプロ人材に任せる時代

安田
ところで、外部のプロ人材に「経営」自体をお願いすることも可能なんでしょうか?

渡邉
ああ、もちろん可能ですよ。
安田
経営のプロ人材というと、マクドナルドの社長だった原田さんやサントリーの新浪さんのような、世の中的に「プロ経営者」って言われている人が思い浮かびますけど。そういう方たちの話を聞いていると、皆さん「V字回復」のプロなんですよね。

渡邉

業績が落ちてきたところをリストラとかしながら数年で立て直して、事業価値を高めて売却したり、株主に売ったり。

安田
そうそう。だから彼らは「ファンド」に雇われているらしいんですよ。

渡邉
ああ、企業価値を高めて売却するために、ファンドから「送り込まれる」わけですね。でも、「経営を外注したい」というニーズで一番多いのは、社長が「ちょっと別のことやりたいから誰か代わりに経営してくれないかな」っていうやつなんですよね。
安田
まさにそうなんです。自分はもう長い間やったので第一線から退きたい、あるいは別の事業をやりたいけど、社内に後継を任せられる人がいないっていう。

渡邉
一族経営の会社なんかだと、家族の中で引き継ぐっていうのが普通でしたけど。
安田
そうなんですけど、昔みたいに引き継いだことがプラスにならずに、不幸の相続になるケースもよくあるわけで。

渡邉
確かに。「先代が言い残した通りにやったら儲かる」っていう時代じゃないですもんね。
安田
そうそう。だから私は、そのうち「資本」と「経営」を分離するようになるんじゃないかと思ってるんです。それぞれを別の人間が担うという。

渡邉
ああ、なるほど。オーナーと雇われの経営者、という図式ですよね。海外は既にそうなってますけど。
安田
そうですね。でも日本でもかつてそういう時代があったんですよ。例えば江戸時代の商店は、「旦那さん」と「番頭さん」が別の人だった。旦那さんは仕事をせず遊んでいても、「番頭さん」が店を切り盛りしてやってくれたわけです。
渡邉
つまり、「現場としての経営のスペシャリスト」が別にいたわけだ。現代もそういうシステムになっていくんじゃないかと安田さんは仰るわけですね。ちなみにそういう「番頭さんポジション」にはどんな人が向いてるんですかね?
安田
大手の子会社とか関連会社を実際に経営してきた人で、中でも具体的な実務に精通している人でしょうね。日本ではなかなかマーケットには出てこないらしいですけど。

渡邉
まあ、多くの方はそのまま経営を続けられるんでしょうしね。転職したりフリーランスになる人自体が少ないのかもしれない。
安田

「ちょっと現場を誰かに任せたいな」と思っている社長がいても、任せられるような人材と出会う機会がないと言うか。


渡邉
なるほど。そういうマッチングをしたら面白いかもしれない。
安田

そうなんです。それに、そのマッチングは雇用契約では難しいんじゃないかと思っていて。能力も高くて今でも大手の系列でそこそこ稼いでる人なので、年収1000万円以下ではまず採れないわけですよ。


渡邉
そうでしょうね。2000万円ぐらい払わないといけないですよね。
安田

そうそう。だけどいきなり2000万円払って正社員雇用する中小企業なんて、なかなかいないじゃないですか。

渡邉
なるほど。だからこそ雇用契約じゃなく業務委託でやると。
安田
仰るとおりです。プロ人材に頼むように、「何をいつまでにどうするか」について明確に契約を交わした上で任せると。基本的に有期の契約なので、事実上の無期限契約である雇用契約よりずっとリスクは低い。

渡邉
なるほどなぁ。でも実際、「誰か代わりに経営してくれる人いないかなぁ」みたいな話はよく聞きますよ、飲みの席とかで。
安田
ですよね。社長がやってきたことを忠実に守りながら、ちょっとした改善を繰り返して着実に利益を維持してくれる人。欲しいと思うんですよ。自分は会長になって給料を取り続けてもいいし、オーナーとして配当で受け取ってもいいし。

渡邉
何かすごいアイデアを出して100倍の企業にしてくれ、とは別に思ってませんからね。
安田
そうそう。「現状維持」でいいわけですよ。自分の代わりに業績を維持してくれるなら、年2000万円ぐらい払ってもいいよっていう人はいると思うんですよ。

渡邉
仰るとおりだと思いますね。でも皆さん、深く考えずそれを息子さんとかに任せちゃう。
安田
そうなんですよねぇ。息子さんもやりたかったらいいんですけど。

渡邉
経営をやりたい息子ばっかりじゃないですからね(笑)。そもそも経営する能力が備わっているのか、という話で。
安田

だからこそ、そういう能力を持ったプロ人材を外から連れてくるのがいいんじゃないかと。

渡邉
確かに。仮にうまくいかなくても、外注だったら入れ替えたりできますしね。月額50万円とか100万円とかを払って、例えばプラス上がった利益の何%とかっていう感じにしていくイメージですか。
安田

そういうのもありだと思いますし、あとは3年限定で雇って成果が出たら延長していくとか。ただ、話は戻りますがなかなかマッチングする機会がないんですよね。ちなみにランリグさんの登録者の中で経営経験のある人っています?

渡邉
ええ、いますよ。従業員が30人から40人ぐらいの会社の社長とか、ECで売上100億円ぐらいの会社をやっている社長とかも登録してくれているので。
安田
へえ、いいですね。そのあたりのマッチングが当たり前にされるようになって、本当に「資本と経営の分離」が進めば、面白くなると思うんですけどね。
渡邉

確かに。会社の売却を考えたり、事業継承に悩んでる会社さんも増えてますし。

安田
ともあれ、売却しても社長はそんなに簡単に抜けられないじゃないですか。でも社長業を代行してくれる人がいると、その人もセットで売却できる。
渡邉
確かに(笑)。現場にはこの人がいるから大丈夫です、と。めちゃくちゃ面白いですね! ちょっと募集してみます。社長代行してみたい方求むって。
安田
私の周りでも探してる人がいっぱいいるのでぜひ! 一緒に協力してやっていけるといいですね。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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