「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗（なかつじ・うらら）。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第44回 大人と子どもの「境目」
実は私、初めて会った時から中辻さんって年齢のわりに大人だなと思っていて。どういう人生を送ってきたら、この歳でこんなに大人になれるのかなと疑問だったんですよ。
ふふふ、ありがとうございます（笑）。
で、若い頃から苦労しているというのを聞いて、なるほどなと思ったわけですけど。そこで今日は、「大人」と「子ども」の境目はどこにあるのか。それについて一緒に考えていければなと。
あぁ、なるほど。今は一応法律上では18歳から「大人」の仲間入りですけど、18歳になったからって突然大人になれるわけでもなさそうですよね（笑）。
そうなんです。よく「子どもを育ててこそ、人間として一人前だ」なんて言われますが。でも子どもがいるのに子どもっぽい親なんて、たくさんいるじゃないですか。
そうですねぇ（笑）。
ちなみに中辻さんの中では、自分はこの辺りで大人になった、と思えた境目はいつでしたか？
私は30歳くらいになってようやく、ですね。というか実は私、安田さんにずっと聞いてみたいことがあったんですけど、今お聞きしてもいいですか？
え、なんでしょうか。どうぞどうぞ（笑）。
ありがとうございます（笑）。安田さんとはペイント王の面接の時に初めてお会いして。その時から基本的にずっと私の味方をしてくださり、遠くから見守ってくださり、いつも心の支えになってくださっているんですよね。
そう思っていただけるのは嬉しいですねぇ。
それでね、先ほどのお話だと安田さんは私のことを最初から「大人」だって思ってくださっていたみたいですが、今の自分からすると、当時なんてまだまだ全然子どもだったと思っていて。
ほぉ、そうですか？
ええ、だからどうして当時の安田さんが、20代そこそこの私を高く評価してくださったのか、本当にわからないんです（笑）。いったい私のどこを見て、仕事ができるって言ってくださっていたのか…。それをぜひお聞きしたいです（笑）。
わかりました（笑）。中辻さんに初めて会った時に印象的だったのは、この人は、人生哲学とか仕事哲学のようなものがしっかりできあがっているように見えて。年齢のわりに「仕事をするとはどういうことか」とか「良い・悪いの判断軸」を、しっかり理解できているんだなと思ったんです。
へぇ、そうだったんですね。
中辻さんって、たぶんご自身が思っている以上に仕事ができる人なんですよ。私もこれまでの人生でものすごい数の人を見てきたので、それは確信しています。出会った当初から「経営者になったら絶対成功する」って思っていましたからね、本当に。
確かにそれはずっと言ってくださっていましたよね。「中辻さんはいずれBIGになります」って（笑）。
そうですよ。もともと最初から「中辻さんは会社員という枠には収まりきらない」「経営者として絶対成功するはず」そう思っていたので。だからこそ、仲良くしておこうという下心があったわけです（笑）。
あはは！（笑） 安田さんがどう思ってくださっていたのかがわかってよかったです。ありがとうございます！
ところで私は20代の中辻さんも十分に大人だと思っていましたが、中辻さん自身は30歳を過ぎてようやく大人だと思えるようになったわけですよね。30歳を境目に、何が変わったんでしょうか？
相手に合わせて、お話の仕方を変えられるようになったのが大きな変化かなと思っていますね。
ほぉ、それはどういうことなんでしょうか。
若い頃を振り返ると、私は「自分の想いを伝えたい」という一心で、とにかく自分の言葉でわーっと言っているだけだったんです。でもそれでは相手の胸にしっかり響かないこともあると気づけたんですよ。
つまり、相手を思いやりながら話せるようになった時に、大人になれたと実感した？
そうですそうです。安田さんはどうですか？ どこに大人と子どもの境目があるとお考えでしょうか。
私は、自分の中の「大事割合」を、自分以外の人が多く占めてきたら、大人になった時かなという気がしています。
へぇ、大事割合ですか。
結局、人間って自分が一番大事なんですよ。だから「子ども」の時は自分の「大事割合」全ては「自分一色」。でも一緒に働く人とか家族とか、それこそ我が子とか。そういった「大事」だと思える存在が自分よりも増えてきた時。それが「大人」になるということなのかなと。
あーなるほど。自分一色だったところに、どんどん新しい色が増えていくイメージですね。
仰る通りです。そういう意味では、中辻さんの「大事割合」はほぼ娘さんが占めているんじゃないでしょうか？
はい、そうです。
そうですかねぇ？（笑）
そうだったんですね（笑）。
対談している二人
中辻 麗（なかつじ うらら）
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告（ポスティング）会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生（やすだ よしお）
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク（BFI）代表。
