第81回 赤字社員も人不足も一挙に解決する「シェア」の力

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第81回 赤字社員も人不足も一挙に解決する「シェア」の力

安田

今日は「中小企業にいる赤字社員」というテーマについてお話してみたいなと。これだけ人手不足と言われているのに、赤字社員を抱えている中小企業が多い気がするんです。


渡邉

確かに、黒字社員ばかりならどの会社も黒字になっているはずですもんね。会社が赤字ということは、赤字社員が存在するということで。

安田

そうなんですよ。社長がよっぽど給料を取りすぎていない限り、赤字社員はいる。…でもなんで赤字社員になってしまうような人を採用してしまうんでしょうね。


渡邉

うーん。まぁ採用の時点では黒字社員になるか赤字社員になるかは未知数というか。ある程度の能力がわかるまでには、入社から半年くらいはかかるんじゃないですかね。

安田

まぁそうなんですけどね。どの人だって基本的には黒字社員になると思って採用しているわけですし。ただ私から言わせると、その時の選定が甘いんだと思うんです。漠然と採用しているんじゃないのかなと。


渡邉

現実的には仰るとおりだと思いますよ。社長が面接して、なんとなく気に入ったから採用、みたいなことは当たり前に起こっているわけで。

安田

そうそう。で、実際働き始めたら思ったような能力がなかったと。かといってクビにもできないから、結果、その人の苦手な仕事を押し付けてしまったりして。


渡邉

正社員だと、仕事がないからと2~3時間で帰すわけにもいきませんからね(笑)。簡単に解雇できないっていうのも、仕組み的にそうだというだけじゃなく、経営者の心情としてもやりたくないことで。

安田

そうですね。でもそれって日本独特らしいですよ。「雇用を維持できないなんて経営者失格だ」って風潮がすごく強いじゃないですか。


渡邉

ああ、言われてみるとそうですね。国民性なのか教育なのか……

安田

戦後の教育によるものでしょうね。私もワイキューブが潰れそうなときに、「社員を半分以下にしろ」と言われたんですが、なかなかできなくて。どうしても「社員に申し訳ない」っていう気持ちが出てしまうんですよね。


渡邉

ああ、僕も社長になった今なら、その気持ちがよくわかります。

安田

「社員を守らなければ!」と私なりに必死でしたけど、いざ会社が潰れてみたら、皆独立したり転職したりで軒並み収入が増えていて(笑)。今思えば、いくらでも行くところがある若い人と比べて、社長である私の方が大変な状況だったんじゃないかと(笑)。

渡邉

確かに(笑)。そう考えると、社員を守ろうとして抱え込んだ結果、赤字社員を作り出してしまうこともあるのかもしれませんね。

安田

まさにそうなんです。無理やり自分の会社の仕事だけをさせているから、赤字社員になってしまう。向いていないなら早く解放してあげて、活躍できる、つまり黒字社員になれる分野で頑張ってもらった方がいいんですよ。あるいはフリーランスになっていろいろな会社と仕事をしてもいいし。


渡邉

ああ、なるほど。1社で抱え込まずに、複数の会社が人材をシェアするってことですね。…もしかして、安田さんのやっている「中小企業共和国」もその発想ですか? ちょうど気になっていたんです。

安田

まさにその通りで、「その仕事だけをやっていたら黒字なんだけど、一日中やるほどの仕事量ではない」ってケース、けっこうあると思うんです。残りの時間を他の会社に貸し出すことで、ちゃんと黒字社員になるんじゃないかと。SNSの配信とか、そういうのが典型ですけど。


渡邉

ああ、なるほどなぁ。確かに専任でSNSを任せるってなかなか難しいですもんね。1日中投稿しているわけでもないし。そこで空いた時間は別の会社で同じことをしてもらう。そうすれば自社の売上にもなるし、本人も黒字社員になれてWin-Winだと。

安田

そうそう。赤字社員のうちは当然評価も低かったはずなんです。それが自分自身で売上を作れるようになって、会社からも喜ばれるし給料も増える。そんなの絶対嬉しいじゃないですか。


渡邉

いいですね〜。本人も得意な仕事を一日中できるようになるので、ストレスもなさそうですし。雇用調整助成金よりも、よっぽど根本的な解決になりそうです。

安田

そうなんです。だってそれって、言ってしまえばただのその場しのぎじゃないですか。業績が悪くなって解雇せざるを得ない状況になった時に、助成金を使って給料を払うってことなので。それよりも、採用した社員をそもそも赤字化させないことが重要なんです。


渡邉

確かに。でも営業部門はわかりやすいですけど、間接部門だと「どういう人を採用すれば利益が出て黒字化するのか」ってなかなか難しくないですか。

安田

そうですね。だからこそ「マーケティングやってました」とか「ブランディングの実績があります」とか言われたら、「よくわからないけどデキそうだな」と採用してしまったりするわけです(笑)。かく言う私も覚えがありますけど。

渡邉

ああ、自称「マーケティングのプロ」を採用したりしてましたね(笑)。

安田

そうそう(笑)。まぁあれは極端な例だとしても、会社全体として「営業は間接部門の人件費まで稼ぐものだ」と考えがちなんですよね。でも直接部門や間接部門で分けるのではなく、「全社員を黒字化する」つまり「赤字社員を作らない」という思考が必要なんだと思います。

渡邉

確かにそうですね。実際、シビアに利益を出している会社は部門ごとに1人1人の収益をきっちり計算しているから、意味もなく間接部門を増やすこともない。

安田

そういうことです。まぁ、とはいえ採用って中小企業の社長の楽しみの一つでもあるので、どんどん人を入れたくなる気持ちはわかるんですけどね(笑)。

渡邉

同感です(笑)。仲間が増えていく感じがして、嬉しいんですよね。その代わり、クビにするのはものすごくしんどいから、ちゃんと考えてやるべきなんですけど。

安田

そりゃそうですよ(笑)。だからこそ、向いてない仕事をさせるのではなく、得意分野を活かせるように会社間でシェアするのがいいと思います。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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